札幌市議会 2005-02-22
平成17年第 1回定例会−02月22日-02号
議 員 上瀬戸 正 則
議 員 宮 本 吉 人
議 員 畑 瀬 幸 二
議 員 大 西 利 夫
議 員 柿 崎 勲
議 員 義 卜 雄 一
議 員 小 川 勝 美
議 員 飯 坂 宗 子
議 員 原 口 伸 一
議 員 田 中 昭 男
議 員 福 士 勝
議 員 松 浦 忠
議 員 大 越 誠 幸
議 員 高 橋 忠 明
議 員 小 谷 俵 藏
議 員 猪 熊 輝 夫
議 員 川口谷 正
議 員 伊与部 敏 雄
議 員 湊 谷 隆
議 員 小 田 信 孝
議 員 柴 田 薫 心
議 員 佐 藤 美智夫
――
――――――――――――――――
〇欠席議員(なし)
――
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〇説明員
市 長 上 田 文 雄
副 市 長 田 中 賢 龍
副 市 長 福 迫 尚一郎
副 市 長 小 澤 正 明
交通事業管理者
交 通 局 長 黒 田 隆 樹
水道事業管理者
水 道 局 長 小 川 敏 雄
総 務 局 長 濱 田 雅 英
企画調整局長 下平尾 文 子
財 政 局 長 米 田 順 彦
市 民 局 長 佐々木 修 一
保健福祉局長 宮 田 睦 彦
子ども未来局長 平 井 章 彦
環 境 局 長 高 橋 徹 男
経 済 局 長 池 田 捨 成
観光文化局長 北 野 靖 尋
建 設 局 長 田 中 透
都 市 局 長 千 葉 守
下水道局長 波 田 正 明
市立札幌病院長 富 樫 武 弘
消 防 局 長 藤 林 義 廣
教育委員会委員 千 葉 瑞 穂
教育委員会教育長 松 平 英 明
選挙管理委員会委員長 本 舘 嘉 三
選挙管理委員会委員 赤 田 司
選挙管理委員会委員 越 智 健 一
人事委員会委員 品 川 吉 正
人事委員会事務局長 深 谷 仁
監査事務局長 佐 藤 勉
――
――――――――――――――――
〇
事務局出席職員
事 務 局 長 大久保 裕
事務局次長 山 内 馨
調査担当課長 山 本 祥 一
議 事 課 長 大 島 和 幸
資 料 係 長 山 越 英 明
調 査 係 長 武 田 章 憲
議 事 係 長 出 井 浩 義
常任委員会担当係長 酒 井 欣 洋
特別委員会担当係長 尾 形 英 樹
記 録 係 長 金 田 博 恵
書 記 樅 山 睦 子
書 記 堀 川 秀 樹
書 記 酒 井 智 美
書 記 中 島 禎 司
書 記 本 島 光 二
書 記 松 崎 朗 子
――
――――――――――――――――
〔午後1時開議〕
○議長(武市憲一) ただいまから、本日の会議を開きます。
出席議員数は、66人であります。
――
――――――――――――――――
○議長(武市憲一) 本日の
会議録署名議員として
大越誠幸議員、
村上勝志議員を指名します。
――
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○議長(武市憲一) ここで、事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(大久保裕) 報告いたします。
伊与部敏雄議員は、所用のため遅参する旨、また、牧野収入役は、所用のため本日から2月24日までの会議を欠席する旨、
川越監査委員及び
橋本監査委員は、所用のため本日の会議を欠席する旨、それぞれ届け出がございました。
本日の議事日程、
陳情受理付託一覧表及び質問順序表は、お手元に配付いたしております。
以上でございます。
〔一覧表は巻末資料に掲載〕
――
――――――――――――――――
○議長(武市憲一) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第1号から第58号までの58件を一括議題とします。
ただいまから、代表質問に入ります。
通告がありますので、順次発言を許します。
山田一仁議員。
(
山田一仁議員登壇・拍手)
◆
山田一仁議員 私は、
自由民主党議員会を代表して、平成17年度予算編成にかかわる諸問題並びに上田市政の諸課題について、以下、9点について質問いたします。
さて、任期の折り返しとなる上田市政の、2月1日に発表された本市の平成17年度予算案は、厳しい経済環境を背景に、一般会計が10年ぶりに8,000億円を割る
緊縮型予算となりました。
さっぽ
ろ元気ビジョンを掲げる上田市長は、「元気実感!予算」と銘打って、みずからを及第点と強調したようでありますが、新聞各社の評価は、元気というより我慢を実感、あるいは、元気の実感にはほど遠いなど手厳しい評価であります。我々もまた、本会議の代表質問、
予算特別委員会の審議を通じて、17年度予算案のよりよい執行を求めてまいりたいと考えております。
それでは最初に、財政問題について、数点にわたってお伺いいたします。
昨年6月、国が示した
経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004によれば、我が国は今、長期停滞を脱し、新たな飛躍の段階を迎えつつある。構造改革を進める中で、財政に依存することなく
民間需要主導により、景気回復のすそ野をこれまで着実に広げてきたと高らかにうたう一方で、地域の回復動向にはばらつきがあり、大企業に比べ中小企業の状況は厳しいことを認識することが重要であると述べております。
そうした中で、来年度の地方財政は、
地方財政計画の規模の抑制に努めても、なお、平成16年度に引き続き大幅な財源不足の状況にあることから、平成17年度の予算編成に当たっては、財政の健全性の確保に留意しつつ、それぞれの地域経済の状況にかんがみ、住民福祉の向上に努めるとともに、地域経済の活性化と地域雇用の創造を地域の視点から積極的かつ総合的に推進し、地域再生に積極的に取り組まれたいと総務省から別途指示されているところであります。
一方、本市の財政状況を取り巻く環境を振り返ると、市長は、依然として厳しい地域経済を背景に市税収入の大きな伸びが見込めない中、生活保護費などの扶助費や
国民健康保険会計などへの繰出金が増加するなど極めて厳しい財政状況にあるとの認識のもと、17年度予算編成に臨んだとのことであります。
このため、
財政構造改革プランを前倒しして歳出抑制に努めるとともに、新
まちづくり計画に掲げる事業については積極的に予算を計上したとのことでありますが、結果的には、国が示した
地方財政計画の削減率を上回る前年度比マイナス2.4%の緊縮型予算となっているのであります。この結果、提案されている一般会計の予算総額は10年ぶりに8,000億円を下回り、7,935億円となったのであります。
市長は、市の財政を家計に例えて言っておられます。収入が少なければ節約をしなければなりません。しかし、一家の主人としては、収入が少なくなれば収入をふやす方法を考えるのが当たり前であります。企業であれば、当然、社長は、何としてでも収入、収益を上げる努力、工夫をしているわけであります。でなければ、生き残れないわけであります。行政に携わる都市経営のトップとして、市長はどのような危機感を持って予算編成に臨まれたのか、お伺いいたします。
あわせて、平成7年度以来、10年ぶりに当初予算が7,000億円台となる緊縮型の予算案となったことについて、市長はどのように考えているのか、お伺いいたします。
次に、前年度比マイナス2.4%の
緊縮型予算の中で、市長は、一般会計の市債残高が政令市移行後、初めて前年度を下回ったと胸を張っておられますが、その要因の一つには公共事業の大幅削減があるのであります。
すなわち、
普通建設事業費が前年度比219億円、21%減の816億円となっているのでありますが、これは、実に昭和50年代半ばの水準にまで大幅縮減となっているのであります。北海道も2004年度から4年間で単独事業費を40%削減する方針を打ち出しており、これに追い打ちをかけるかのように、本市が公共事業を大幅に削減することで、地元経済に与える影響ははかり知れないものがあることは明白であります。
しかも、
財政構造改革プランによれば、平成18年度までに265億円の
収支不足解消を目指し、
公共事業費の対前年度比20%削減が掲げられており、18年度においても、さらに20%削減が予定されているのであります。
これによって、たとえ市の財政構造は改革されるとしても、そもそも地域経済が混乱に陥ってしまうのであれば、何のための改革かと言わざるを得ません。このような公共事業の大幅な削減は、まさに特定の業界に対し
ハードランディングを強要するものだと思うのであります。
そこで、市長は、
公共事業費20%削減で本市の経済に与える影響をどのように考えているのか、さらにまた、公共事業に携わる業界に対し、どのように説明されようとしているのか、ご見解をお聞きしたいのであります。
私は、経費削減や市民負担の見直しに取り組むことについては、現下の厳しい財政状況の中では、必ずしもすべてを否定するものではありませんが、他方で、なぜ思い切った
経済活性化策に取り組まないのか、大いに疑問に思うのであります。
この点、昨年9月に提出された
市役所改革市民会議の提言書においても、歳入増を目指す財政改革として、
中小企業活性化による市税の増加が掲げられているのであります。北海道の
一大商業都市である札幌市においては、90%以上を占める中小企業を軸とした経済活性化が重要であり、経済力の増幅により法人市民税、個人市民税の増加がもたらされると述べております。そして、元気な中小企業をさらに元気にする施策や、従来の
施策スタイルにとらわれない柔軟な発想と企業ニーズに即応した対応が提言されているのであります。
この提言どおり、私は、今こそ、経済の活性化に全力を注がなければならない時期だと思うのであります。なぜなら、今、国内では、経済が活性化している元気な街とそうでない街とに大きく二分されつつあるのではないかと思うからであります。当然のことながら、経済活動が活性化して初めて税収の伸びが期待できるのであり、国と地方の税財政構造を抜本的に見直す三位一体の改革が断行されようとしている中、今後は、それぞれの自治体において、いかに税収の確保に取り組むかが将来の勝ち組、負け組の大きな分かれ道となるに違いありません。
そこで、お伺いいたします。
市長は、街づくりの基本的方向の一つとして、元気な経済が生まれ、安心して働ける街を掲げておりますが、平成17年度予算において、市長の言う元気な街づくりとは、一体どのような
経済活性化策を言うのでありましょうか。その施策の特色と予算額は幾らか、さらには、どの程度の経済効果を期待しているのか、お尋ねしたいのであります。
また、歳入の根源である市税収入については、どのような考えで見積もりをしたのか、いつもながらの収納率の向上だけをうたうのではなく、そもそも税源の涵養に向けてどのような対策をとるつもりか、具体的にお示しをいただきたいのであります。
次に、今後の財政運営についてであります。
昨年までであれば、予算編成に当たって、従来の考え方を踏襲する手法で済まされたかもしれませんが、今後の
三位一体改革と地方分権の流れを見据えたとき、予算編成のあり方も変わってくるべきであります。確かに、改革の中身が詳細に把握できない面があることは否めませんが、全体像は明らかになりつつあるわけでありますから、17年度の予算編成に当たっては、どのような点に留意されたのか、お伺いいたします。
また、今回の予算編成にあわせて、平成17年度の予算案をベースにした向こう5年間の新たな
中期財政見通しが示されました。この見通しによると、平成18年度の収支不足額は192億円であり、その後も扶助費や公債費等が引き続き増加傾向にあることから、各年度の収支不足額は順次拡大して、平成21年度では470億円の収支不足が見込まれているのであります。
これは、一般財源や
普通建設事業費を平成17年度と同額と見込んだ場合の試算として示されているのでありますが、
三位一体改革の先行きも不透明であり、かつ、とらの子の貯金である
財政調整基金も徐々に支消していく傾向にある中、今後の財政運営はさらに厳しさを増していくものと思われます。
そこで、改めて、今後の財政運営のあり方について、市長の基本的な考え方をお伺いいたします。
次に、経済政策についてお伺いいたします。
国は、三位一体の改革を断行しようとしております。地方交付税、補助金が減る中で、地方は、今後、経済的自立をしていかなければなりません。地域経済の自立に向けたビジョンのもとに、実効ある施策を実施していく必要があるわけであります。確かに、北海道は、長年にわたり公共事業に依存をしてきた地域でありますから、大幅な公共事業の削減が続く中、公共事業に依存してきた多くの関連業者のあり方をどうするか、あるいは、その地域の特性を生かした産業の育成支援をどうするかといったことを考えていかなければならないと思うのであります。
市長の本市における経済政策は、産業振興を最重要課題の一つと位置づけ、
札幌元気基金事業などの施策を実施してきておりますが、それはお金を貸すのみの政策であり、今後の本市経済の展望、ビジョンが見えてこないのであります。
今回の
公共事業費の20%削減は、特に建設・土木業界にとって大きなダメージであります。確かに、
財政構造改革の中の痛みを言うならば、多少の辛抱をしなければならないことは理解できますが、であるならば、将来の夢、希望を出すことが重要であります。
以前には、業界に対し、業種の変更をも考えてもらうとの答弁等もありました。それは、市長に弁護士から
プロ野球選手になれというのと同じぐらい難しいことであることを認識されているのでしょうか。
経済を活性化させるには、先ほど申し上げた将来の夢、希望がなければなりません。例えば、札幌ドームの存在は多大なものがあります。もしドームがなければ、もちろん日本ハムの進出もなかったし、今ごろは寂しく活気のない街になっていたのではないでしょうか。本市の
駅前通地下歩行空間、
創成川通アンダーパスは大きな希望であり、その経済効果は、数値にあらわされているとおり、多大なものであります。
しかし、これはすべて桂市長時代に考えられたものであります。それが、今日、実現に向かって進んでいるのでありますが、上田市長の新まちにおける夢、希望は何でありましょうか。長期展望は全くなし。例えば、新幹線の札幌までの延伸、あるいは都心の都市高速は大きな夢であり、希望でもあります。また、夏の
札幌オリンピックがもし開催されるならば、その効果は絶大なものであります。もちろん施設等の建設費用の問題点もありますが、ドームのように、知恵、工夫によって解決できるものであります。
新
まちづくり計画では、元気な経済が生まれ、安心して働ける街さっぽろをその基本目標の第一に挙げ、数々の指標項目で目標値を挙げておりますが、それらを実現することによって、どんな札幌の経済構造を築いていこうとしているのかわからないのであります。
また、IT産業は、桂市長時代から新産業として本市も支援してきて、今や年間約2,600億円の取引実績を誇り、そのうち4割は道外からで、
サッポロバレーと呼ばれるIT産業の集積地として全国から注目を浴びております。
しかし、IT産業だけで地域の域際収支を改善できるわけではありません。そこで、幾つもの産業分野、業種で広い意味での外貨獲得型の産業が成長することが望まれます。また、域外のマーケットとしてどこを見ていくのか、国内で見れば首都圏ということになるでしょうが、最近の中国、韓国などの
アジア圏諸国の経済成長を見ると、こうした地域に対してどうかかわりを持っていくのかも大きな課題であります。
札幌には港がなく、また、製造業の基盤が弱いということもあって、どうしても札幌は貿易という観点が弱いように感じますが、今こそ、輸出産業の振興ということも本格的に取り組む必要があるのではないでしょうか。
札幌市の経済的自立のビジョンを構築し実現していくためにも、どういった分野で域外からの外需獲得型の産業振興を図っていくのか、どういった地域をマーケットと想定していくのかということまで視野に入れて積極的な施策を実施していくべきと考えますが、市長の考えをお伺いいたします。
また、きょうまで行ってきたIT産業の支援については、その効果をどのように評価されているのか、お伺いいたします。
市長は、新まちづくりの経済政策で3年後の目標値を挙げておりますけれども、それが実現されたなら元気な街になるわけでありますが、その効果をどのように想定されておられるのか、改めてお聞かせ願いたいのであります。
次に、指定管理者制度についてお伺いいたします。
平成15年の地方自治法の改正によって指定管理者制度が創設され、これまで一定の出資団体等に限られていた公の施設の管理業務が民間企業に開放されることとなるわけで、本市においても、平成15年10月7日、札幌市公の施設に係る指定管理者の指定手続に関する条例を制定したところです。
既に新設された4施設については、この制度により管理がされております。改正法施行後3年の経過期間が平成18年9月1日までとなっており、実質的には年度がわりの平成18年4月から管理開始を想定されております。
本市の施設総数は、道路や小規模公園を除き約800施設、そのうち直営が450施設、管理委託が約350施設となっており、出資団体への委託が約300施設、公共団体への委託が約50施設となっております。
この指定管理者制度の目的は、多様化する住民ニーズに、より効果的・効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上と経費の削減を図るとなっております。
現在、それぞれの施設を所管する部局が、どの施設を対象として公募するか否かを検討中であると伺っておりますけれども、おのおのの所管部局の考え方で検討しているのではなく、一定の方針に基づいて作業を進めているものと考えますが、この指定管理者制度の開始に向け、具体的にどのような基本方針を持って各局に指示しているのか、お伺いいたします。
この制度は、年度の関係から平成18年4月開始となっておりますが、本市はもとより、来年3月末見込みで全国の2,189の自治体において同時に開始されるわけです。民間企業にとっても、大きなビジネスチャンスであることに間違いありません。
条例の第2条では施設の管理条件の明示、第3条では参入意欲のある企業の申し込みが書かれております。
今後のスケジュールを伺いますと、ことしの決算議会に条例案を提出、11月より募集を開始し、12月に選定、翌年予算議会に指定議案を提出し、3月に協定締結、4月に管理開始となっているようであります。この中で、制度導入案の決定に至る所管部局検討の経過が重要であると考えます。より透明性を確保し、市民が納得できるものでなければなりません。
この導入施設によって、本市として真剣にこの指定管理者制度の運用に対する姿勢が問われるものと考えますが、民間の活用を図る目的にかんがみ、本気で取り組むつもりなのか、市長の見解をお伺いいたします。
一方で、現在、出資団体評価委員会において出資団体の評価が行われており、間もなく報告がなされると聞いております。市長は、この報告を受けて、具体的に出資団体の改革を進められることになるものと考えますが、まさに、その見直しの方針は、これまで公の施設を管理していた出資団体においては組織の存続に大きくかかわるものです。これまでの管理受託者である出資団体を存続させるために指定管理者に指定をするならば、制度の趣旨が生かされず、その指定は本末転倒の指定とも言えます。
しかし一方では、現実問題として民間企業であれ出資団体であれ、管理委託が受注できるか否かは雇用問題にも大きくかかわってくるものであります。
そこで、本市として、今後の出資団体の見直しと指定管理者制度とのかかわりをどのように認識されているのか、お伺いいたします。
先ほど経済対策でも触れましたが、明確な方針が見当たらない中、この指定管理者に民間企業が参入することは、地域経済にとっても大きく寄与するものと思われます。公共事業が大きく削減される中、地域経済を元気にするためにも、より多くの施設管理を民間に開放すべきと考えられ、この指定管理者の選定に向けては、より透明性を確保すべきことは明白でありますが、具体的にどのような方法をもってその説明責任を果たしていくのか、お伺いいたします。
次に、たばこの吸い殻及び空き缶等の散乱の防止等に関する条例の施行についてお伺いいたします。
我が会派は、公明党議員会、自民党第二議員会と連携をして、一昨年来、ポイ捨て条例の制定に向けて議論を重ねてまいりました。
昨年第4回定例市議会で提案させていただき、可決したたばこの吸い殻及び空き缶等の散乱の防止等に関する条例は、本年4月施行、10月罰則適用を目指し、市民の安全で快適な生活環境と観光都市さっぽろにふさわしい環境の確保を目的とするものであります。
この中で、札幌市、事業者、市民等のそれぞれの責務と役割を明確にした上で、たばこの吸い殻及び空き缶等の投げ捨て禁止、公共の場所における喫煙の制限、印刷物等の回収、飼い犬のふんの回収を義務づけております。また、市長は、地域住民や関係団体等の意見を聞いた上で美化推進重点区域を指定することができ、また、重点区域内において喫煙制限区域を指定することができるとしております。
さらに、実効性の確保のため、たばこの吸い殻及び空き缶等の投げ捨て禁止並びに公共の場所における飼い犬のふんの回収に違反した場合、市内全域において2万円以下の過料、美化推進重点区域内においては3万円以下の過料、公共の場所における喫煙の制限についても、喫煙制限区域内における違反者に3万円以下の過料を科すものであります。
しかしながら、平成17年度予算案を見る限り、このポイ捨て条例に関する予算づけはなされておらず、このままでは、4月の施行、10月からの罰則を含めた適用が困難ではないかと危惧しております。
これについて、原局の説明によれば、条例の規則制定に当たって改めてパブリックコメントが必要であり、条例の施行時期がずれ込むのはやむを得ないとのことであります。
しかし、条例を提案した3会派としては、条例案策定に当たって、1年以上の時間をかけて、先進都市の視察、商店街等の各種団体との懇談や道警との協議、市環境局との打ち合わせ、市民へのアンケート調査などを実施し、その上で議会への提案、委員会審議を経て可決された条例でありますから、このすべてが、いわゆるパブリックコメントであると認識しております。
また、我々が実施した市民アンケート調査の結果を見ても、ポイ捨てを禁止することに賛成の割合は97%の高い率であり、罰則適用についても85%の支持があったのであります。これらの結果を見ても、条例制定には多くの市民から支持を得ております。
さらに言うならば、これは、今までの議会での議論を軽視した先延ばしのための予算未計上にほかなりません。行政にも実行のスピードが求められる中、断じて許されることではありません。
そこで、今後、札幌市が取り組むべき運用上の課題と新年度予算での考え方についてお伺いいたします。
1点目は、予定どおり4月施行、10月運用開始を目指すべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
次に、2点目として新年度予算案にポイ捨て条例関連の予算が未計上なのはどういう理由なのか、改めてお伺いいたします。
3点目は、条例施行規則、要綱の制定について、どのようなスケジュールで行うつもりなのか、お伺いいたします。
4点目として、過料額やその適用についてどのように考えるのか、お伺いいたします。
5点目は、重点区域の指定について、現段階でどのような考えを持っているのか、お伺いいたします。
さらに、6点目として広報啓発活動や取り締まり体制の整備などについてどのように考えるのか、お伺いいたします。
次に、観光客誘致の方策についてお伺いいたします。
かねてより、市長が提言してこられた年間来客2,000万人構想は夢の目標であるとしても、新
まちづくり計画における当面の目標1,500万人を達成するためには、札幌の新たな魅力づくりや、より的確なターゲットの絞り込みによる、効果的な、観光客やコンベンションの誘致活動が必要とされるわけであります。
しかし、今日の熾烈な都市間競争を勝ち抜くためには、そうした活動に頼るだけでなく、新たな発想、取り組みこそが求められると思うのであります。例えば、コンベンションセンターという施設が完成したからこそ、さまざまなコンベンションの誘致が可能になり、ドームがあるからこそ、スポーツ観戦や大規模コンサートのために札幌を訪れる人がふえるわけであります。来客誘致のためには、今後とも、一定程度の施設整備を含めた環境づくりが不可欠であると考えるのであります。
そこで、来客の促進を図る場合に、まず考えられる環境整備といえば、交通アクセスの改善であります。
新千歳空港では、国際線ターミナルビルの建設構想が発表されたとともに、道央自動車道と直結させるための検討に入ると聞いております。こうした改善は、北海道への観光客やビジネス客にとって大変な朗報であるとともに、札幌への来客をふやす上では非常に大きな役割を果たすことになると思うのであります。
一方で、市内にある丘珠空港は、こうした集客交流の促進という視点、その活用に目が向けられているかというと、いささか疑問であります。
丘珠空港は、札幌の新しい観光スポットとして注目を集めているモエレ沼公園やさとらんどにも近く、空港を核に芸術と憩いをキーワードとする札幌観光の新たな拠点となる街づくりに大きな可能性を感じるのであります。そのためには、まず、空港の利用客をふやすことが最初の取り組みになると考えます。
丘珠空港は、滑走路の延長を実施しましたが、座席数の多い大型飛行機が就航することは不可能なことから、現在の機材により函館、釧路等の路線の増便を図る、さらには、丘珠から利尻や奥尻へ直接行ける路線を新設し、観光やビジネスにとって、より利便性を高めることにより、丘珠を北海道観光の拠点とするとともに、道内各地からの集客力を大幅に高めることができると思うのであります。また、特に冬期間における就航便数は、除雪体制の問題から14便と減便を余儀なくされておりますが、道内の冬期間の観光も、各地でイベントが開催されるなど魅力あるものの一つであり、丘珠空港の積極的な活用が望まれております。
そこで、1点目の質問ですが、本市としても、積極的な活用に向けて関係機関等への働きかけなどが必要と考えますがいかがか、お伺いいたします。
質問の2点目ですが、17年度にはモエレ沼公園が全面的なオープンを迎えます。世界的な公園にするべく、イサム・ノグチの最後の作品と言うべき空間芸術をどのように紹介し、より多くの人に見てもらうのか、その工夫についてお尋ねいたします。
最近の本市は、外国からの観光客がふえてきております。台湾、韓国、オーストラリアと多くの人たちが札幌を訪れているわけでありますが、それらの人たちのための各国別の案内板や案内表示は、他の政令市に比較しても少ないと思うのであります。冬のオリンピックを開催し、国際都市さっぽろを標榜している割には、まことにお粗末であります。
そこで、3点目の質問でありますが、これはお金のかかる話でありますから、市長にはつらい選択だろうと思いますが、案内板や案内表示の設置に向けて取り組む気持ちがおありかどうか、お伺いいたします。
次に、保育所整備についてお尋ねいたします。
本市の合計特殊出生率は1.02と政令市の中では最低の数値であり、このまま少子化が進行すると、市場の縮小や労働人口の減少による経済成長のマイナス面ばかりでなく、年金財政上の逼迫化も指摘されており、また、地域の市民活動の停滞や行財政の硬直化など、都市の活性化が失われる要因になると懸念されております。
このような中、本市では、少子化対策の一環として平成19年4月の待機児童解消を目指し、新
まちづくり計画及び子ども未来プランにおいて1,530人の保育所の定員増を行うこととしており、平成17年度には590人の定員増を計画しているわけであります。
その具体的整備計画の中で、特に、国庫補助による整備については新設3カ所と増改築3カ所で9億5,800万円を計上しておりますが、その施設はすべて鉄筋コンクリートの堅固な建物であり、一度建ててしまえば30年以上は確実に稼働するものであります。
しかし、保育所への入所児童が毎年増加しているとはいっても、就学前児童数は毎年確実に減少し続けている中で、将来の保育ニーズの動向がどう推移するかは予測できないところであります。
このような状況を考えると、将来的な需要の変化への弾力的な対応という面からも、建設費用が大きくかさむこれまでのような手法だけではなく、小規模な定員設定が可能な分園の設置を進めることが有効であると考えます。
そこで、認可保育所の分園整備に積極的に取り組むべきと考えるが、市長のお考えをお伺いいたします。
また、分園制度を導入する場合でも、現在の制度では運営費の単価が低くなってしまうため、保育所を運営する法人にとっては分園の設置に消極的にならざるを得ないと考えられます。
そこで、分園制度をよりよく運営しやすい制度、すなわち本市の分園設置単価を検討する考えはないか、お尋ねをいたします。
2点目として、老朽施設の改築問題について質問いたします。
本市では、昭和47年の政令市移行に前後した人口の急増に対応して整備された保育所が数多くあり、これらがまさに改築時期を迎えているわけであります。現在、150件近い保育所を、今後計画的に整備するとなると、単純に1施設30年もつとしても年間5件もの整備が必要になります。特に、札幌市が認可保育所を対象としてさきに行ったアンケートで示されたところでは、既に築30年以上の施設が28件あり、今後5年間でさらに26施設ふえることとなっております。
一方で、従来の国庫補助による保育所整備では待機児童対策が重要視されてきたことから、定員増につながらない単なる施設の改修などについては、なかなか国庫補助の採択が受けられないということを聞いているわけであります。また、施設の中には、諸般の事情から定員増が難しい施設もあり、施設整備には多額の資金が必要であることから、このままでは国庫補助も受けられずに建てかえもままならないということも考えられます。
そのため、同じ保育の要件を満たしている状態にありながら、立派な施設で日々の保育を受ける子どもたちがいる一方で、老朽化した施設で保育を受ける子どもたちが今後ますますふえていくことが予想されるのであります。
そこで、子どもたちの健やかな育ちのためにも、今後ますますふえる老朽施設の計画的改築を促進するため、国庫補助に頼らない市独自の制度を早急につくることが必要と考えますが、市長の考えをお伺いいたします。
本市も財政が切迫する中、保育園に対する補助金を削減せざるを得ないなど、支援がままならぬ状況では、経営する法人の資金を有効に使う工夫も必要であります。特に、各種積立金、繰越金などは、一定条件を付しながら施設整備に有効に使えるようにすべきと考えますが、市長のお考えをお伺いいたします。
さらに、国の基準においても運営費の弾力的運用が進んでいるわけですから、本市においても、保育所法人が、市と協定した金融機関での融資制度が利用できるような配慮が必要であると思うのですが、市長のお考えをお伺いいたします。
次に、創成川通のアンダーパス連続化事業等に伴う都心の街づくりの展開についてお伺いいたします。
創成川通アンダーパス連続化事業は、これまで紆余曲折がありながらも、ようやく着工の運びとなり、しだれ柳などの樹木の移植などが、まさに現在進められている状況を見ても、いよいよ動き出したことを実感できる段階に来たところであります。
今後のスケジュールとしては、地下部のアンダーパスの工事を先行的に進めながら、地上部の緑地水辺空間の整備については、平成18年度の実施設計へ向けて検討を進めているところであると聞いており、着実な事業の進捗を大いに期待したいと考えております。
この
創成川通アンダーパスの連続化については、構想当初には、この事業を一つのきっかけとして創世1.1.1区(さんく)計画にも弾みをつけ、そのことによって創成川以東の街づくりの展開と創成川を挟む東西の街の連携を促進することにつなげるという議論もあったかと記憶しております。
しかしながら、創世1.1.1区(さんく)については、昨今の経済情勢の低迷等もあって、今すぐ開発が動き出すのは客観的に見てなかなか難しい状況にあるということは、容易に想像のつくところであります。
一方、創成川以東地域を広く眺めると、サッポロファクトリー開業以降は特に目立った大きな開発はなく、いまだに低・未利用地があちこちに見受けられる状況にあります。
この地域は、明治の開拓期以来、札幌の発展を支える非常に重要な役割を果たしたにもかかわらず、必ずしも住む場所としてのイメージが高くはない場所となっております。
しかしながら、苗穂や北4条東6丁目といった地区で開発に向けた動きがあり、その成り行きが将来的に期待されるとともに、ここ近年の新たな動向として、大規模な開発が連なっていく状況ではないものの、地価の下落傾向を背景としたマンション建設の活発化や、飲食や文化にかかわる小粒ながらさまざまな魅力的な取り組みが芽生えるなど、明るい兆しも見え始めております。このような創成川以東地域の状況を踏まえると、いわゆるオープンスペースのネットワークというのでしょうか、人々が楽しく歩き回ることができる環境をつくっていくことが非常に重要であると考えるのであります。
創成川通アンダーパスの連続化を大きなきっかけとして、東西の街のつながりが強まり、東側市街地が歩いて楽しい街に変貌していく期待が大いに高まるわけでありまして、質の高い複合市街地の形成を誘導する建築更新のルール化なども進めながら、当該地域の再生の実現に向けて、段階的ながらも着実な進捗を図っていくことが必要なのであります。
そこで、質問でありますが、アンダーパス連続化事業を単なる交通対策のみの事業に終わらせないためにも、市長は、今後、その事業効果としてどのように東西連携を促進する街づくりに波及させていく考えなのか、その取り組みの方向をお示しいただきたいと思います。
次に、札幌市の将来道路網のあり方についてお伺いいたします。
創成川通アンダーパスの連続化事業が、東西連携を促進する街づくりに波及することが期待できることを申し上げましたが、その都心も含め、今後の本市の街づくりを考えた場合、将来道路網をどうするかは極めて重要な課題であると考えます。
平成12年度に策定された第4次札幌市長期総合計画によると、本市のこれからの交通体系の整備は、公共交通機関を軸とした交通体系の確立、適切な自動車交通の実現、広域的な交通ネットワークの充実の3本柱が目標として掲げられております。そして、これらの目標実現のために、総合的な交通ネットワークの確立、既存交通施設の効果的な活用、交通手段が適切に選択されるよう誘導することに積極的に取り組む必要があるとされております。
このうち、総合的な交通ネットワークについては、いわゆる2連携1環状1バイパス11放射道路から成る主要幹線道路網が示されており、これまでに札幌北広島環状線の新琴似工区や環状通のエルムトンネルが完成するなど、ある程度はされております。
しかしながら、既存交通施設の活用や、交通手段が適切に選択されるよう誘導することについては取り組みがおくれており、その結果、依然として交通混雑が発生しているのではないかと考えられます。
今年度、高速道路の有効活用による、一般道の交通混雑の緩和を目的とした社会実験が実施されるなど、その努力は認めますが、やはり、もう少し大胆に交通体系を見直すべき時期に来ているのではないかと考えているところであります。
例えば、北海道において、新千歳空港の拡充とともに高速道路を直結させるための検討に入ると聞いておりますが、新千歳空港は観光ばかりではなく物流にとっても大きな動脈になっており、自動車交通の利便性が高まり、道内への観光客や貨物移動の円滑化が図られることは、本市の経済界にとっても大きな波及効果が期待できます。
したがって、全国第5位の大都市と言われる札幌市が、北海道のこうした取り組みと連携し、道都としての発展を目指す計画を検討していくことが必要不可欠であると考えますが、現実には、残念ながら、この取り組みを支援するような姿勢が全く見えてこない状況であります。
私は、空港と高速道路の直結による都心部へのスムーズなアクセスを図るため、札幌北インターチェンジから創成川アンダーパスに接続する高速道路を建設するといった、大胆な発想で将来の道路網の検討を行う必要があるのではないかと考えます。
昨年7月に策定された都心交通計画においては、人と環境を重視した新しい時代の都心交通への転換を目標として都心通過交通対策を進めることとされておりますが、都心に必要な車が入れなくなることによって経済活動にマイナスの影響が及ぶようなことは防がなければなりません。先ほど述べました創成川以東の街づくりも考慮すると、都心部への高速性や定時性を確保するような目的を持つ交通のための直行型の道路を整備することによって、都心に入りやすくするような工夫も必要であります。さらに、豊平川堤防道路の延長による都心部への交通混雑の緩和や、創成川アンダーパスと結ぶことによって、都心部から市外への交通の流れをスムーズにするような、そうした街づくりを交通面からどのように支えていくかを総合的に考えていく必要があります。
札幌市にとって、こうした取り組みは経済活性化のためにぜひとも必要な公共投資であると考えますが、一方で、北海道などの関係機関と調査検討のために、相当の時間がかかることも理解しております。
そこで、本市の将来道路網計画のあり方についてどのような見解をお持ちか、また、今後どのような検討を進めていかれるのか、お伺いいたします。
次に、路面電車についてお伺いいたします。
平成17年度予算発表の記者会見の中で、市長は、路面電車の存廃議論に結論を出されたわけでありますが、存続との結論を是認するにしても、この1年間の検討期間は何であったのか、釈然としない検討結果であると考えるものであります。
すなわち、整理すべき課題のどれ一つをとっても、課題をこう解決したのでこういう結論になったと、はっきりとした課題整理の結論が示されておりません。結局、路面電車を残すと言っているだけで、ループ化する、延伸するとも言っていないし、効率化を図るために経営形態の見直しを行うとも言っておらず、検討結果の内容は具体性に欠けると言わざるを得ないのであります。確かに市民への問いかけと意見の募集は行ってきましたが、その結果、市民がこう言っているので残すことにしたとしか受け取れない内容であります。この1年をかけた検討結果は何であったのか、昨年の結論とどこが違うのか、疑問が残るところであります。
民間事業者へのヒアリング結果からは、民間コストで運営した場合、公営で運行するより20%から30%の経費削減が可能との推計がされているところであり、将来的な活用方針を策定し、改めて見直すにしても、それまでの時間経過の中で発生する赤字を、事業継続のために税金で補う必要が出てくるわけでありますから、市民負担を最小にとどめるためには、早期に、まずは運行の民間委託などの手法を効率的に図るべきと考えるところであります。
特に、効率化のための民間活力導入は、存続に合わせての絶対条件と思います。今後の将来像とあわせて経営形態の見直しを行うとしておりますが、効率化がおくれることで事業収支の悪化が行政負担の増大をもたらすものと考えられるところです。
そこで、質問でありますが、市長は、先日の存続を結論づけた記者会見で、民間ノウハウを積極的に取り入れていきたいと述べておられますが、民間活力の導入についてどうお考えか、お伺いいたします。
次に、災害に強い街づくりについて質問いたします。
新潟県中越地震から123日がたちました。今回の地震では、人口246万人の新潟県でピーク時には約10万人が施設に避難されたと伺っております。実に県民25人に1人が避難したという大災害でありました。この中で、復旧作業に当たっては、前例や法令を掲げてのお役所仕事、あるいは縦割り行政をいかに打破できるかに尽きると、被災された地域住民の現場からの声として上がっております。
ところで、道内の活断層は16確認されておりますが、不安なことは、活断層の活動予測が極めて困難であるということであります。直下型地震は、海溝型と違い、どこで起きるか判断できず、手がかりは過去に起きた地震を示す活断層ということであります。
政府の地震調査研究推進本部では、石狩低地東縁断層帯についてはマグニチュード7.8程度の地震が30年以内に発生する確率を最大6%と推測しております。札幌周辺は、泥炭地や火山灰地が多く地表にあらわれていない可能性もありますし、北大構内では液状化の跡が見つかっており、数百年前には震度6強から7の強い地震が起こっていることを示しているとの北大地震火山研究観測センターの情報もあります。また、政府は、平成15年3月に、30年以内に十勝沖で大地震が起こる確率は60%という報告書を出しており、十勝沖で起きる地震は、遠く離れた札幌市にも大きな被害を及ぼす可能性が高いと指摘されております。
このことは、本市がどれだけ真剣に地震に備えた対策をとってきたかが問われる時期に入ってきていると言っても過言ではありません。こうした危機感が187万札幌市民に共有されているのか、予測に対する備えとして、本当に防災に生かされているのか、大変疑問に思っております。
災害はいつやってくるかわかりません。災害時の医療体制は無論のこと、施設や設備の耐震性は大丈夫なのか、市民が願っている安心・安全という災害に強い街づくりが今こそ求められております。
地震対策の中で、国土交通省による官庁施設の総合耐震計画基準というのがあります。これは、施設の構造体の耐震安全性の目標として、区役所、消防署、消防出張所、病院、保健センターは、大地震の後でも構造体の補修をすることなく建築物を使用できることを目標とし、人命の安全確保に加え、十分な機能確保をすることが必要とされております。すなわち、災害救助活動の拠点施設にもなるわけであります。万一のとき、消防車が出動する前に消防施設が崩壊したとなるとどうしようもありません。
そこで、消防施設の耐震診断結果について調査いたしました。
ここで大きな問題になるのは、建てかえを前提にしているため、南消防署と、出張所では琴似、大通、東苗穂、北栄、美園、北光、篠路等が耐震診断を実施していない状況にあります。また、最低限必要とされる判断指標でありますIS値0.81の半分以下程度まで耐震強度が落ち込んでいる施設は、北消防署と、出張所では東月寒、新川であることが判明いたしました。一方、都市局建築部が耐震診断をした対象施設で、要改修と診断された施設のうち、平成16年度末現在、未改修のものが36施設に上っており、もう一つ重要なことは、大地震が厳寒期に発生した場合、被災された市民に凍死などが発生し、死傷者数が大幅に増加することが考えられます。
そこで、質問をいたします。
市長が昨年9月に発表した新
まちづくり計画では、災害に強い街づくりという災害対策を前面に掲げた重点計画を策定しておりませんが、市長は、札幌市民187万人の安心・安全についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
災害に強い街づくりに一番欠かせないことは、組織が横断的にしっかりと機能することに尽きる、危機管理対策室の役割と権限が問われていると言っても過言ではありません。市民は、消防施設については、当然のことながら、耐震基準に合致していると安心しているはずであります。特に、豊平、南消防署の2カ所は建てかえが急務と考えますが、めどについていかがか、お伺いいたします。
次に、災害時における緊急対策についてであります。
現在、本市においても、水、食糧、毛布は備蓄されており、夏場であれば最低限の対策は可能であると思います。
しかし、厳冬期の災害時における大きな問題として、大地震が発生し、停電したときにはすべての機能が停止してしまいますから、避難所においては乳幼児に必要な給湯あるいは温かい食事などを、どう確保するかが緊急の課題になってまいります。
その場合に有効なのがLPガスであると思います。本市では、ガス協会とLPガスの供給について協定を締結するとともに、ガスコンロを備蓄しておりますが、今後、これらガスコンロの備蓄を一層進めることが必要であると考えますがいかがか、お伺いいたします。
最後に、教育問題についてお伺いいたします。
昨年末、OECDによる学習到達度調査、IEAの国際数学・理科教育動向調査の結果が相次いで発表され、日本の子どもたちの学力低下について数多くの報道がなされているところであります。
新聞等の報道によると、OECDによる調査では、科学的応用力については変わらないものの、数学的応用力が1位から6位、読解力が8位から14位へと低下し、さらに、IEAの調査においては、算数、数学では順位に違いが見られなかったものの、理科が小学校4年生で2位から3位へ、中学校2年生で4位から6位へと下がっているとのことであり、その結果については、子どもを持つ親として大きな不安を抱くものであります。
日本は、明治以来、欧米の国々と肩を並べることを目標に知識注入型の教育を進め、そのことが戦後の高度経済成長を支え、経済的な発展を築いてまいりました。
しかし、この間、受験戦争と言われるまでになった過度な競争と画一的な教育への反省、国際化や情報化などに見られる社会構造の変化への対応を図るため、知識の量を重視する教育から、個人の特性に応じた教育、創造性、考える力、表現力などの育成を図る教育へと方向転換し、学力に関するとらえ方自体も大きく変化してきております。
私は、これまでの学力に関するとらえ方の流れやこれからの日本の社会を考えたとき、みずから学び、みずから考える力を育成し、基礎・基本を確実に定着させ、生きる力をはぐくむという学力に対する考え方は、決して誤ったものではないと考えております。
しかしながら、従来の学力観に近い知識量や理解度を中心に測定を行ったIEAの調査結果はまだしも、現在、日本の教育が目指している知識の活用能力など、学習指導要領が求める学力に近い能力をはかるOECDの調査結果が前回に比べ相対的に低下したことは大きな問題であります。
これら学力の相対的な低下の原因については、ゆとり教育の弊害であるとか、週5日制による授業時間数の減少であるとか、さまざまな要因が取りざたされており、子どもたちの学力の向上を図るための方策についても各方面で活発に議論され、学習指導要領の見直しについても触れられているところであります。
私は、このような状況の中にあって、札幌市は、ただ文部科学省の施策をまつのではなく、街づくりという視点から、子どもたちの学力向上を図るとともに、札幌の特色を生かした札幌市としての学校教育を考えていくことが必要ではないかと考えております。
聞くところによりますと、金沢市では、学力向上と金沢らしさを生かした教育への取り組みとして、児童生徒への学力調査を実施、分析した上で、全市共通の課題を洗い出すとともに、加賀百万石と呼ばれた地域の特色を生かすため、金沢の歴史について学習が深められるよう指導基準として金沢スタンダードを作成し、その内容や取り扱いについて全小・中学校に示しているところであります。
学力調査に関しては、昨年の第3回定例市議会において、自民党第二議員会の五十嵐議員の質問に対し、札幌市においても、今年度、学力調査を実施し、教育課程の編成、実施や指導方法の工夫改善を行う旨の答弁をいただいているところでありますが、私は、さらに加えて、学力の向上を図るために、子どもたちの実態を踏まえた上で教育委員会が主体性を発揮し、金沢スタンダードのような本市独自の学習指導に係る指針を作成することが必要ではないかと考えるのであります。
さらに、その中において、例えば札幌の特色の一つである冬と雪を生かし、スキー学習などを積極的に取り入れ、冬や雪に親しむ心をはぐくみながら体力向上を図る、あるいは総合的な学習の時間等に雪に関する学習などを位置づけ、問題を解決していく力を向上させるなど、札幌らしい、札幌でしかできないという教育を取り入れていくことが、雪とともに暮らすこの札幌という街を愛する心をはぐくむことにもつながっていくものと考えております。
このような札幌市独自の学校教育を推進し、子どもたちの学力を向上させていくためにも、札幌市としての指針を示すとともに、教員の資質の向上等についても同時に考えていくことが必要であり、今回実施される学力調査を十分に活用し、教員研修の見直しを図るなど、教員の指導力を高めることが重要であると考えております。
また、札幌市の教育を保護者や地域の方々の理解、協力を得ながら、ともに学力等に関する問題を考えていくため、学校の運営について学校評価を活用するなどして、保護者や地域の方々の意見を積極的に学校運営に反映させていくことも必要になってくると考えるのであります。
私は、札幌市としての学校教育を考えるとき、今述べましたとおり、学習指導についてはもちろんのこと、さまざまな施策を総合的にとらえ、関連を図りながら、札幌市の子どもたちのために札幌らしい教育を実行していくことこそが求められているものと考えるところであります。
そこで、質問であります。
子どもたちの学習の向上と冬や雪を生かした学習など、札幌らしさを生かした学校教育を推進するため、学習実現状況等の調査などをもとに、本市独自の学習指導に係る指針を示すことが必要と考えますがいかがか、お伺いいたします。
また、昨年9月に札幌市教育推進計画が策定され、札幌市としての新たな教育システムの充実、構築に向けた施策について個々に説明がなされているところでありますが、その中で、特に教員の研修や学校運営への保護者、地域の方々の意見反映など、個々の施策を教育委員会としてどのように相互に関連させ、有機的に結びつけて実施していこうとしているのか、お伺いをいたします。
以上で、私の質問をすべて終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(武市憲一) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 9点にわたりましてご質問がございましたので、私からは、1番目から5番目までの財政問題から観光行政までについてお答えをさせていただきまして、その余を担当副市長並びに教育長からご答弁をさせていただきます。
初めに、財政問題につきましてお答えをさせていただきます。
1点目の緊縮型の予算案についてでありますけれども、ご質問にもございましたように、札幌市の財政というのは、かつて経験をしたことがない極めて厳しい財政状況が続いているところでございます。
このような中で、新年度予算につきましては、
財政構造改革プランに掲げます事業の見直しを可能な限り前倒しして進めるとともに、公債償還を平準化することによりまして企業会計への繰出金を抑制するなど、巨額の収支不足の解消に向けてさまざまな取り組みをしてまいりました。その結果として、
地方財政計画の削減率を上回る規模の予算案になったところでございます。
このような行財政改革によります歳出抑制という大きな流れは、国、地方を通じた全国的なものでございまして、札幌市においても、税収の急激な回復が期待できない状況のもとでは、予算規模の縮減はやむを得ないところであるというふうに考えているところでございます。
次に、2点目の公共事業の削減についてでありますが、生活保護などの扶助費を初めといたします義務的な経費の増加が見込まれる中で、札幌市の
財政構造改革を進めるためには投資的な経費の抑制というものは避けて通ることができないものと考えております。
そこで、このたびの予算編成におきましては、これまで築き上げてまいりました札幌市の社会資本整備の状況というものを考慮した上で、新
まちづくり計画に位置づけた事業については重点化を図ることとし、その他の公共事業等につきましては総量を抑制するという方針をとったところでございます。
私といたしましても、公共事業等の急激な削減は、地元建設業を初めとする地域経済に少なからぬ影響を与えるということは十分に認識しておりますので、その削減に当たりましては、まずは、用地の取得費用等を中心に抑制を図ることといたしました。そして、地元企業に発注される工事請負費などについては、できるだけ緩やかな削減が図られるように最大限の配慮をしたところでございます。
建設業等につきましては、今後とも厳しい状況が予想されておりますので、みずから新分野へ進出するなどの構造的な転換が図られなければならないのではないかというふうに考えております。
札幌市といたしましても、全庁的にさまざまな角度からソフトランディングが図られるように、北海道や札幌商工会議所などとも連携をいたしまして支援等を講じてまいりたいと、このように考えているところでございます。
3点目の
経済活性化策の特徴についてでございますが、私は、かねてより、札幌の経済を担う中小企業の皆さんが、時代の変化に対応しながら新たな事業にも果敢に取り組むことができ、加えて、NPOや多くの市民の皆さんによる創業が活発化していくことによって札幌経済を元気にすることができるというふうに考えておるところであります。
そこで、平成17年度予算においては、これらの取り組みを支援するための事業といたしまして、例えば、昨年4月に創設して多くの方にご利用をいただいております
札幌元気基金事業につきましては、前年度に引き続き200億円を超える融資総額を確保するとともに、対象事業の拡大など、制度内容の充実を図るほか、新たに官民共同で5億円規模のベンチャーファンドを創設するなど、中小企業や創業に挑戦をする市民に対して、きめ細かな施策を積極的に展開することといたしております。
なお、これらの取り組みによります経済効果につきましては、具体的な指標をお示しすることはできませんけれども、このほかにも新産業の創出や集客交流産業の振興など、幅広く経済の活性化に向けました取り組みを展開することによって元気な札幌経済の再生を図ってまいりたい、このように考えているところであります。
4点目の市税収入の見積もりに当たっての私の考え方と税源の涵養に向けての対策についてでございますが、平成17年度市税収入の見積もりに当たりましては、個人所得が減っていくという状況、そして、市内に本店があります法人の企業収益の伸び悩み、それから、地価の下落傾向など、市税を取り巻く厳しい環境を踏まえまして、これまでの収入状況や国の
地方財政計画、そして各種経済見通しなどを勘案するとともに、新たに収納担当部長を設置するなど、税収の確保に向けて体制の見直しを図るということにさせていただきました。
その上で、前年度当初予算との比較で申し上げますと9億円の増、率にいたしまして0.3%増の2,597億円を見積もらせていただいたところであります。
また、税源の涵養に向けての対策についてでございますけれども、先ほどお答えいたしましたとおり、中小企業や創業に挑戦する市民への支援、そして、新産業の創出あるいは集客交流産業の振興などに積極的に取り組み、経済活性化と雇用の創出を図っていくことが札幌市の安定的な税収の確保につながるというふうに考えております。
5点目の今後の財政運営についてでありますが、冒頭でも申し上げましたとおり、極めて厳しい財政状況が続く中で進められております三位一体の改革は、地方の権限と責任を大幅に拡大する一方で、地方には簡素で効率的な行財政運営が強く求められているものであるというふうに理解をしております。
そこで、17年度予算の編成に当たりましては、伸ばすべきものは伸ばし、変えるべきものは思い切って変えるという基本方針に基づきまして、内部の効率化を初めとする事務事業の見直しを積極的に進めてまいりました。そして、事業の選択と集中の徹底によりまして、施策の重点化を図るなど、構造的な転換に向けて大きな一歩を踏み出すことができたものと考えているところであります。
さらに、今後の財政運営に当たりましては、
財政構造改革プランに掲げます事務事業の見直しを今後とも着実に推進するとともに、中長期的な課題につきましても早急に検討することによりまして、18年度以降も想定される収支不足の解消に努力をしていきたいと考えておるところであります。
いずれにいたしましても、まずは我々の置かれている厳しい財政環境についてしっかりと市民の皆さんにご説明をし、その説明責任を果たした上で、将来の世代に過度の負担が残らないように責任を持って財政運営に当たってまいりたいと、このように考えているところであります。
次に、経済政策についてのお尋ねでございます。
1点目の外需獲得型の産業振興施策についてでありますが、お話しにありましたIT産業に加えまして、バイオや食品産業、観光産業など、札幌市の特性や都市イメージを生かした分野において、その振興に力を入れているところでございます。
また、これまでの幅広い交流の実績を生かしまして、中国、韓国など、東アジアを主な対象とした物産展だとか、あるいは商談会など、経済交流事業やPR事業を官民連携のもとで実施することによりまして、新たな市場の開拓や集客交流の拡大に努めてまいりたいと考えております。
2点目のIT産業支援の効果についてでありますけれども、札幌市におけるIT産業は、全国に先駆けまして札幌テクノパークの分譲を開始いたしました1986年度、昭和61年度と昨年度の実績を比較いたしますと、売上高においては約4倍の約2,600億円となるなど、札幌市の主要産業として着実に成長し、他の産業の高度化、情報化にも大きな成果を上げているところでございます。
3点目の新
まちづくり計画における経済施策の効果についてでありますが、良好な金融環境や創業環境を形成する中で、札幌ブランドや環境、福祉分野等で特色のある産業が生まれ、国内外とのさまざまな交流が活発化することによって、活力に満ちた安心して働ける街づくりを推進することができると私は考えているところでございます。
次に、指定管理者制度についてお答えをいたします。
1点目の基本方針についてでありますが、議員ご指摘のとおり、この指定管理者制度というのは、多様化する住民ニーズにより効果的・効率的に対応するために、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上と経費の節減を図ることを目的とした制度でございます。
そこで、各施設の制度導入の検討についてでございますが、公の施設には、目的や性格、管理の状況をそれぞれ異にする多種多様な施設がありますことから、これらの状況も踏まえながら、この制度の趣旨に沿って具体的な検討を行うように指示をしているところでございます。
2点目の民間活用の考え方についてでありますけれども、札幌市におきましては、指定管理者制度の趣旨にかんがみまして、原則として公募による選定手続を行うこととしており、これによりまして公の施設の管理に民間が参入する機会が確保されるものと、このように考えております。
3点目の出資団体の見直しとのかかわりについてでございます。
出資団体の見直しにつきましては、今後示される出資団体評価委員会の評価結果を踏まえまして具体的に取り組むことといたしておりますが、出資団体が管理をしている公の施設につきましても指定管理者制度が導入されることとなります。したがいまして、今後、指定管理者制度の趣旨を踏まえて、出資団体の見直しを進めていくべきものというふうに考えているところでございます。
4点目の選定の透明性の確保についてでありますが、指定管理者の選定に当たりましては、選定基準に従い、公正な選定を行わなければなりませんので、施設ごとに合議制の機関といたしまして選定委員会を設置することとしております。
その際、できる限り、学識経験者など施設の運営等に関して専門知識を有する方に選定に加わっていただきたいと考えております。
また、選定結果の公表につきましても、説明責任を果たすべく、その方法を検討してまいりたいと、このように考えているところであります。
次に、たばこの吸い殻及び空き缶等の散乱の防止等に関する条例の施行についてお尋ねでございますので、お答えいたします。
この条例につきましては、議員の皆様方の強いご意思とご尽力によって制定されたものでありますので、改めて敬意を表するものでございます。
その執行をゆだねられた者といたしまして、条例に込められましたご意向をしっかりと具現化するために、適切な手順を経てその条例を施行しなければならないと考えております。
1点目の条例の施行時期についてでございますが、条例を適正に執行するために必要となる施行規則や、今後、指定する予定の美化推進重点区域と喫煙制限区域につきましては、新たに市民の皆さんに対する制約あるいは制限を設けることになりますので、まずは大まかな内容や選定基準といったものを市民の皆さんへお伝えした上で、ご意見をお聞きし、定めていかなければならないと、このように考えております。
できるだけ早い時期に条例を施行したいというふうに思っておりますが、こうしたことから考えますと、来年度当初からの施行は難しいと判断をいたしております。
しかしながら、実質的に実効性を伴うことになります罰則規定を含めた全面施行につきましては、ご提案の皆様が想定されておりました10月をめどに考えております。
2点目の関連予算未計上の理由についてでありますけれども、ただいまご説明申し上げました手順での条例施行を考えておりますので、関係する事業内容を十分精査した上で、平成17年第2回定例会に予算案を上程する予定でございます。
3点目の条例施行規則等の制定スケジュールについてでございますが、1点目でご説明した流れのとおり、3月中に施行規則等の素案を確定させまして、4月には広報さっぽろ等の各種媒体を通じて広く市民の皆様方にお知らせをし、ご意見をお伺いしたいというふうに考えております。その結果を踏まえまして、区域指定に関する地元関係者との協議など、所定の手続を経た後、8月には条例及び規則の施行、そして、先ほど申し上げました10月をめどに条例の全面施行ということを考えております。
4点目の過料額やその適用につきましては、既に罰則規定を含めて同様の条例を制定しております諸都市の状況を十分に参考としながら検討しているところでございます。
次に、5点目の重点区域の指定についてであります。
美化推進重点区域や喫煙制限区域につきましては、条例の目的であります市民の安全で快適な生活環境と、観光都市さっぽろにふさわしい環境を確保すること、また、条例の精神が広く札幌市域全体に広がっていくことなども考え合わせまして、多くの市民の皆さんや札幌を訪れる方々が集い、行き交う、例えば大通公園や札幌駅前通というような札幌の顔とも言うべきところがまず想定されるのではないか、このように思っているところであります。
次に、6点目の広報啓発活動や取り締まり体制の整備等についてであります。
いわゆるポイ捨てを防止することにつきましては、これまでも、啓発活動や清掃活動など、市民の皆さんと一緒にさまざまな取り組みを実施してきているところでありますが、条例の施行に当たっては、広報、啓発をより一層充実しなければならないというふうに考えております。
また、指導を含めた取り締まりの体制につきましても、いかに実効性を上げるかという面から検討し整備をしてまいりたいと、このように考えております。
次に、観光行政についてお答えをいたします。
1点目の丘珠空港の積極的な活用についてであります。
平成15年度から北海道運輸局が設置をいたしております丘珠空港利便性向上支援検討委員会に、北海道及び航空会社などの関係機関とともに札幌市が参画をいたしまして、空港のイメージアップのためのキャンペーンイベントの開催、ロゴマークやポスターの作成、公共交通アクセス改善のための実証実験バスの運行などなど、取り組みを行ってきたところであります。
ご承知のとおり、丘珠空港は、周辺の生活環境の保全のため、定期便の運航便数に限度を設けておりますけれども、その範囲内でより多くの方々に利用していただけるように、冬期の運航便数の確保も含めて、引き続き関係機関と連携しながら空港の活用促進に取り組んでまいりたいと考えているところであります。
2点目のモエレ沼公園の紹介とその工夫についてであります。
来年度は来客2,000万人に向けた新たな取り組みとして、アートをテーマとした街の魅力の創造と発信を行うことにしておりまして、その中心にモエレ沼公園を据えてPR活動の展開を行ってまいりたいと考えております。具体的には、公園自体のすばらしさを国内外に広くお伝えするとともに、マスメディアに積極的に取り上げていただけるよう、モエレ沼公園にふさわしいイベントができるだけ多く実施されるように各方面に働きかけていくことや、首都圏で開催しております観光客誘致キャンペーン等で重点的に紹介をしていきたいというふうに考えております。
3点目の外国語の観光案内板や案内表示の整備についてであります。
年々増加する外国人観光客に対する案内表示の充実は、ホスピタリティーの向上の面からも重要なことだというふうに考えております。観光案内板につきましては、設置の必要性が高い箇所の調査を平成12年に行いまして、日本語のほか、英語、ハングル、中国語を併記したものを市内に185基整備しているところでございます。
今後は、団体旅行から個人旅行への移行といった旅行形態の変化ということが指摘をされておりますことから、こうした変化にも対応したより効果的な、案内板を含む観光情報の提供方法を研究し、必要に応じて民間企業等にもご協力を要請しながら充実をしてまいりたいと、このように考えているところであります。
私からは、以上でございます。
○議長(武市憲一) 田中副市長。
◎副市長(田中賢龍) 8点目にご質問がございました災害に強い街づくりについてお答えいたします。
最初に、第1点目の災害に強い街づくりについての考え方についてであります。
昨年策定いたしました新
まちづくり計画は、市民の力みなぎる、文化と誇りあふれる街の実現を目標に、札幌市が3年間で重点的に進めるべき政策事業により構成をしてございます。
市民が安全で安心して暮らせる生活環境を確保することは、街づくりの基礎をなす重要な視点ととらえており、これまでも、地域防災計画により市民の生命、財産を守るための施策を推進してきたところでございます。今後につきましても、市民の安全・安心の確保を基本に、災害に強い街づくりを推進してまいりたいと考えております。
次に、豊平及び南消防署の建てかえについてでございます。
公共施設の中でも、消防施設につきましては、市民の安全を守り、安心を与えるためにも重要な施設でありまして、当然に消防車両が直ちに出動できる耐震性が保持されなければなりません。このことから、特に現行の耐震基準を満たしていない昭和45年以前の施設につきましては、これまでも建てかえを進めてきたところでございます。したがいまして、ご質問の消防署につきましても、その役割が果たせますよう整備について検討してまいりたいと考えております。
次に、災害時におけるガスコンロの備蓄についてでございますが、災害時に避難場所でお湯などが必要となる場合には、避難場所の調理施設の使用を予定してございますが、使用不能の場合に備えてLPガスコンロを備蓄してございます。今後、被害想定を見直す際には、備蓄の充実についてもあわせて検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(武市憲一) 福迫副市長。
◎副市長(福迫尚一郎) 都心の街づくりと将来の交通網のあり方につきましては、私よりお答えさせていただきます。
最初に、
創成川通アンダーパス連続化事業に伴う街づくりの展開についてお答えいたします。
まず、この事業に伴って実施いたします地上部の再整備についてでありますが、全体を通して水と緑を生かした空間とすることを基本としながら、人々が行き交い、東西市街地のつながりを強めていく観点を重視して進めてまいります。
創成川以東の地域についてでございますが、議員よりお話がありました北4東6地区における再開発の検討や、北3条通沿道の街並み形成への活動などが展開されていることから、創成川通の再整備を大きなきっかけとして、このような街づくりに向けた動きがさらに促進され、東側市街地の魅力向上と東西連携につながるよう、地元の方々とともに取り組んでいきたいと考えております。
次に、2点目の将来道路網のあり方についてお答えいたします。
これまでの道路網は、本市の人口増加と市街地の拡大に対応して計画されており、現在では一定の整備水準に達したものと認識しております。今後は、限られた財源の中で、少子高齢社会の進展や地球環境への配慮など、経済社会状況の変化も踏まえながら取り組んでいく必要があるものと考えております。
そこで、昨年9月には、北海道開発局、北海道など、関係機関及び学識経験者から成る道央都市圏の将来道路網を考える検討会を設置し、さまざまな観点から検討を進めているところでございます。
次に、3点目の路面電車についてお答えいたします。
今年度行いました調査の結果によりますと、民間活力の導入により、経営効率の向上や収支の改善が見込まれることが明らかになりました。したがいまして、今後はどのような効果的な民間活力の導入形態や手法があるのか、路面電車の活用方策とあわせて具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
私からは、以上です。
○議長(武市憲一) 小澤副市長。
◎副市長(小澤正明) 保育所の整備につきまして、私からお答えをいたします。
札幌市においては、改築時期を迎えた老朽施設に対応しつつ、平成19年4月における待機児童及び超過入所の解消を目指しまして積極的に施設整備を進めているところであります。
しかし、議員からご指摘のありましたとおり、将来的な保育ニーズの動向につきましては的確に予測しがたい面もあり、また、従来の国庫補助制度では改築が難しい施設があることも認識しているところでございます。
そこで、1点目の分園の整備についてでありますが、将来的な需要の変化に弾力的に対応することができるだけでなく、地域における保育需要にきめ細かに対応するためにも有効な手法の一つであると認識をしておりますことから、運営面を含めて、分園を整備するために必要な諸条件について検討してまいりたいと思います。
次に、2点目の老朽施設の改築につきましては、必要に応じた整備を行うことができるように、ご提案のありました各種積立金の活用や融資制度も参考にさせていただきながら、設置者における財源確保の手法等について検討していきたいと思います。
検討に当たりましては、17年度から変更される予定であります国庫補助制度の内容を精査しつつ、設置者の皆さんのご意見なども伺いながら考えていきたいというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
○議長(武市憲一) 松平教育長。
◎教育長(松平英明) 私から、教育問題につきましてお答えを申し上げます。
学力向上に向けた取り組みについてでございます。
まず、学習指導に係る札幌市独自の指針につきましては、今年度、子どもたちの学習の状況を把握するため、学習実現状況調査を実施したところでございますが、今後、その結果から明らかになる札幌市の児童生徒の学ぶ力や意識に関する傾向や課題をもとに指導計画の例を示すなど、具体的な指導のあり方等についての指針を示し、各学校において学習指導の改善が図られるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
またあわせまして、札幌市としての特色ある学校づくりという観点から、議員ご指摘の冬や雪など、札幌の特色を生かした取り組みの充実が図られるよう、具体的な実践例の紹介を通して各学校に働きかけてまいりたいと考えております。
次に、教員の研修や学校運営への保護者、地域の方々の意見反映など、個々の施策の関連についてでございますが、札幌市の子どもたちの学ぶ力をはぐくむため、学習実現状況調査等から明らかになった指導上の課題に対応した研修を中核に据えるなど、札幌市の教員研修のあり方を見直し、指導の改善を図ってまいりたいと考えております。
また、各学校におきましても、学ぶ力の向上や特色ある学校づくりに向けての取り組みについて、学校評議員、保護者、地域の方々などの創意ある意見や要望が反映され、その成果と課題が適切に評価され改善が進められますよう、学校評議員制度の充実や学校評価システムの確立に向けまして積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
(
山田一仁議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(武市憲一) 山田議員。
◆
山田一仁議員 全部はできませんけれども、市長に何点か再質問をさせていただきます。
まず、財政問題について少し質問をさせていただきたいのですが、市長のご答弁をずっと聞いておりますと、確かに、歳出に関しては、これから一生懸命にやらなければならないということはよくおっしゃっておりますけれども、私がこの中で聞いているのは、行政のトップとして、歳出ももちろん大事ですが、だとするならば、歳入は考えられないのか。なぜ歳入というものが考えられないのか。もちろん経費削減はいいのですよ。そういうことを考えるというのも、これからは大事ではないかと思うのであります。
ですから、その歳入という策があるのかないのか。もしなければないでいいのです。ないと言うなら仕方がありません。私は、市長としてそういうものがあるかないかということ、市長の姿勢をお聞きしたいのであります。
それから、市長に元気な街づくりの策は何かということをお尋ねいたしました。特色と予算はということをお聞きしましたけれども、これは、市長に言わせると、すべて200億円の融資資金と5億円のベンチャーファンドだと、言うなれば全部お金貸しです。貸すだけであります。
これも、活性化するためにいろんな形の中で目標値をつくり、こういうことをすることによって街がよくなる、こういうことによってその地域がよくなると、いろんな方策があると思うのですが、そういうのが出てこないのです。そういう方策、それこそ政策、策ですよね。それが市長の方にあるのかないのか、その辺もひとつお伺いしたいと思います。
それから、三位一体ということで、これから順次変わろうとするならば、地方が自立していかなければならないことは、市長、もう明白であります。もう交付金や補助金という社会ではなく、自分たちでやっていかなければならないとするなら、当然、今言った歳入というものが非常に重視されてくる。
税収というものに関して、これだけ数字が出てくるぐらいですから、恐らく全体的なものはある程度お持ちになっていると思うのです。新まちだって、こうやって目標値がいろいろ掲げられております。これは、年度、年度の目標値であります。でも、総合的にとらえたならば、当然、こういう街になりますよというのは、ある程度全体的な数値もあってしかるべきであります。毎年、この部局にこの予算、経済にこの予算と出していったときに、この予算は効果があるかないか、当然査定された上で組んでいるわけであります。何も考えないで組んでいるわけではないのですから、当然、大まかであろうと、その分に関して経済効果、数値というものは持っていなかったらおかしいはずであります。漠然と予算を組んでいるわけではないのでしょうから。
そういう意味で、きちっとそういう数値を出すべきだと思いますが、数値がないとおっしゃるなら、これもないで結構です。そういうものを持っておられるのか持っておられないのか。私は、そういうのは一切関係ないのだと言うなら、それはそれでいい、その考え方は考え方だから。
それから、もう一点は空き缶ポイ捨ての(発言する者あり)
○議長(武市憲一) 静粛に願います。
◆
山田一仁議員 (続)ポイ捨て条例のことでありますが、私ども議会が4定で議決をさせていただきました。当然、4月施行、10月ですね、この順序で我々はやってきたつもりでありますし、これから市長には、施行の規則、美化推進の重点策というのをいろいろやっていただくわけでありますが、今日、4月まで、我々は十分に期間があったと思うのです。何で今になってこういうふうになってくるのか。やる気がなかったとは申しませんが、なぜこんなに延びてきたのかということなのです。何ゆえにここまで来たのか。
我々は、この問題が議会を通ってから、きょうまでの、予算をつくるまでに、市長には間違いなく時間は十分にあったと思いますが、なぜそういうような行動をとられてきたのか、その点をお伺いいたします。
○議長(武市憲一) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 1点目の歳入増をどう図るのかということでございます。
当然、税源の涵養をしていかなければならないということは、先ほどもお答えしたつもりでございますけれども、あらゆる経済政策というのは、そういうことに向けられているというふうに私は考えております。
例えば、観光についても、2,000万人がただ来れば、それでいいのか。何のために2,000万人という目標を立てているか、それは経済効果があるからであります。みんなが豊かになるためには、観光というのは非常に大きな産業でありますので、これは、やはり私たちは一生懸命にやらなければならないということを申し上げているわけです。
それを具体的に目標数値を上げろと言われましても、個別の政策について、投下した予算がどれだけ効果があるのかということは、もちろん担当が試算をしながらやっているわけでありますが、総合して幾らぐらい歳入が上がるというようなことを今申し上げるための資料は、私は持っていないということをお答えしておきます。先ほどもそのことは申し上げました。
それから、もう一つは経済施策です。
元気基金だけ、あるいは金融の利益を与えるというようなことだけでというお話でございますが、これも同じ答えでございまして、当座の元気基金をつくったときにはですね、もちろん金融機関の貸し渋りだとか、あるいは貸しはがしなどという言葉が世情で言われておりましたような状況、中小零細と言ったら申しわけありませんけれども、弱小企業の皆さん方が非常に苦しんでおられたという状況の中で、こういう施策が必要だ、従来のマル札と言われているものよりもっと利便性の高い基金が必要だということで、私は公約をし、これを実践させていただいたわけであります。
ですからこれは、当座の元気を回復していただく、これ以上倒産しない、ばたばたいかないようにするためにはどうしたらいいかということでつくった制度でもございます。
しかし、この制度をもっと長期的に使っていきたいというふうなご希望も伺った上で、それを充実させていきたいというのがこの政策でございます。
そして、それは、あらゆる業種について元気を出していただくという意味合いで申し上げているわけでありまして、元気を回復していただいた企業が、そこから法人税を上げていただく、あるいは、就業をサポートするということもその一環でございまして、みんなが豊かな生活をするということによって所得が上がる、所得が上がれば個人の所得税も上がってくる、住民税も上がるというようなことで、札幌市の収入が上がってくるということを申し上げているわけでありまして、お金を貸すだけの対策をとっているというわけではないということをご理解いただきたいと、このように思います。
もう一つ、たばこの問題でございますけれども、もちろん、これは4定で議決をされまして成立した条例でございます。これを誠実に施行しなければならないということで、私どもも準備させていただいているところでありますが、議員の皆さん方がこれをご提案されるときに、既にいろんな方々からお話を聞いているので、パブリックコメントは必要がないという見解には私は賛成はできません。
もちろん、そういう十分な研究を積まれてご提案をされたということ、そのご労苦に対しては私も敬意を表するものでありますけれども、しかし、市民の利益、権利といったものを制限し、制約をする内容でございますので、例えば、どこにそういう区域を設定するのかというようなことについては、やはり、利害関係のある皆さん方の意見をしっかり聞くための手続はどうしても必要だということでございます。
そういう意味で、当初、議員の皆さん方が想定されていた時期というものは、しっかり頭に入れた上で努力をさせていただいておりますので、ご理解を賜りたい、このように考えます。
以上であります。
(
山田一仁議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(武市憲一) 再々質問になります。
山田議員。
◆
山田一仁議員 市長、まず、財政の方でお伺いします。
経済政策、そういう数値は把握されていない、個々のことでやっていると。確かに、そう言われるのは、市長が把握されていないのは、それはいいのです。
でも、市長が自分で観光事業とおっしゃったから、例えば2,000万人ですが、これは目標値であろうが、2,000万人になったらこれだけの、1,200億円の経済効果も生まれますと、こういうふうに数値が示されるわけです。トップになったら、これは当たり前なのです。こうなったらこのくらいできるだろう、こうやれるだろうと想定して政策を実施するから今日があるわけであります。何も政策がなくて、ただ予算を組んでいるわけではないと思うのです。
だとするなら、本当は数値がつかめていなかったら、漠然としていたら、それは予算を組んでいるだけじゃないですか。どうなるのかわからないのです、やってみなければ。こういうことをすると、こうなのですよと、そういうことじゃないですか。それじゃ、
公共事業費を20%削減して、関連業者に対してどの程度の減が出るかということも、それは数字を出されているのですか。そういうことも原局からお聞きしたのですか。そういうのがなければだめじゃないですかということなのです。
数値を把握されてはいない。だけれども、経済政策をどんどんどんどんやれば、先ほど言ったように所得がふえ、市民税がふえ、税金がふえると。それじゃ、500億円、5億円、元気基金、こういう貸し以外のもので、重立ってどこに出ているかというと、市長の場合は、それが出ていないわけであります。
たまたま私はこれを一例として挙げさせていただきました。本当は名古屋の例を挙げようかなと思ったけど、街の力関係が余りにも違います。一番手っ取り早いのはと思ったら、一番似ているのが北九州であります。たまたま我々も北九州の方へ視察に行きまして、北九州の末吉市長ともお会いしました。大変ご苦労をしているところです。福岡もなかなか厳しいと。けれども、それじゃそういう経済政策の中で、福岡の経済をどうするかといったら、具体的なものを出しているわけです。例えば、駅と道を使う、あるいは空港を使う、道路網をやる。そういうふうにして地域の人が経済を活性化させるのであって、市長が言うように、中小企業の皆さんが効果的にと言ったって、何もないところにぽっと金だけ貸したって、それはできるわけがない。やっぱり、そういうものを整備することによって街が活性化するということじゃないでしょうかということを私はお伺いしているのです。
そういう面で、具体策がないと言うのなら、それでいいです。私は、そこまで持っていませんとおっしゃるなら、それは仕方がないことですから、それはそれでいいです。そういう面で、もう一点聞きたい。
それから、今の、ポイ捨てなのですが、当たり前です。地下通路のときも市長とはこうでした。そういうふうに、これからいろんな形の中で十分にやらなければならないけれども、このたびは時間があったじゃないですか。そうしたら、この問題について何回、いろいろなことをやってこられたのですか。議会が終わってからきょうまで、どんなことをやられたのか、それをお示し願いたい。(発言する者あり)
○議長(武市憲一) 上田市長。
◎市長(上田文雄) 北九州市の例を挙げられて、具体的な目標があるじゃないかということでございますけれども、私は、もちろん、ほかの都市でいろいろやっておられること、例えば道路をつくる、あるいは建物を建てるというようなことでは、具体的に非常に把握しやすい経済効果というのはあるというふうに思います。
ただ、今、既存の、例えば駅前の地下歩行空間や創成川のアンダーパス事業など、既に定められて着工しているものはございますが、これに加えて、新たに大きな公共事業を興すというようなことまでは、今のところなかなか厳しい状況にあるという認識のもとでありますので、それを抽象的に把握して、これはこれだけの効果があるというようなことはなかなか言えないというのが私の今のお答えでございます。
そして、さらに、条例の問題については、これは規則の内容を策定するというような作業をしておるわけでありまして、その素案は3月中にすぐにまとまるというふうに私は申し上げているわけです。
ですから、準備をしていなかったわけではなくて、そういう作業を進めていたということでございますので、ご理解をいただきたいというふうに考えております。
○議長(武市憲一) ここで、およそ30分間休憩します。
――
――――――――――――――――
休 憩 午後2時48分
再 開 午後3時20分
――
――――――――――――――――
○副議長(西村茂樹) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
小野正美議員。
(小野正美議員登壇・拍手)
◆小野正美議員 私は、民主党・市民の会を代表して、今定例会に提案されました2005年度予算案を初めとする諸議案並びに当面する市政の諸課題について質問をいたします。
アジア・太平洋戦争の敗戦から、ことしで60年になります。戦争で多くの命が失われ、虚脱感が漂う敗戦直後の混乱の中で、人々の心を支えたのは、平和に暮らすことができるという安心感と解放感でありました。もう戦争はしない、国家権力が危険な道に走らないように枠をはめ、民主主義を定着させたい、新憲法にはそうした希望が託されました。
しかし、今、戦争状態が続く国に自衛隊が駐留する中で始まった戦後60年という年、戦後、日本が自己イメージとして抱いてきた平和国家が空洞化しつつあることの象徴と言えます文民統制、シビリアンコントロールが問われています。
しかし、今、国民が統制をしなければならないのは、自衛隊ではなく、小泉政権という文民であります。政治へのあきらめから、国民が無気力になるのが平和の危機の前兆であることも戦争で学びました。国家の暴走を許さないためには、国民が常に政治を監視し、発言していく民主主義をさらに鍛えなければなりません。そのためにも、地方分権、地域主権を重視し、住民が地域の街づくりに意見を寄せ、議会も、行政もその声にこたえる。身近で具体的な課題に住民が参加する。地方自治は、民主主義を育てる学校としての意義があります。
上田市長は、施政方針、さっぽ
ろ元気ビジョンで、市民自治が息づくまちづくりを根本に据え、ともに考え、ともに悩み、ともに行動することによって、市民の力みなぎる、文化と誇りあふれる街を実現するため、全力を挙げています。私どもも、このことを戦後60年に当たって、改めて肝に銘じなければならないことと強く確信し、順次、質問に入ってまいります。
最初に、今後の市政運営と元気プランの総合的推進についてであります。
今、地方自治体、そして、地方自治制度そのものを取り巻く環境が大きく変化しています。地方分権の流れがそれであり、また、地方自治体の内部でも、自分たちの街のことは自分たちで考え、決めていくという自立的、主体的な市民の動きに象徴される市民自治の流れが大きなうねりとなっています。
闘う知事会を掲げた全国知事会前会長梶原氏の言葉をかりれば、明治維新が日本の中央集権革命であったとすれば、今はまさに平成維新、地方分権革命の時代であり、そのための産みの苦しみの時であると言えます。したがって、我々地方自治にかかわっている者にとって、新しい時代を切り開いているという自負と気概を持って難局に臨まなければならないと思うのであります。
ここで翻って、我が札幌市の置かれている状況を思うに、財政基盤が脆弱で、国への依存度が高く、
三位一体改革の影響が極めて大きく、さらに、少子高齢社会の到来の中にあって、札幌市の合計特殊出生率は際立って低く、今日まで札幌市の成長を支えてきた要因の一つである人口増は、今後、見込めなくなるのであります。
こうした中で、どのようにこれからの札幌が引き続き魅力ある都市であり続け、市民福祉を維持・向上させていくかが問われるわけであります。私は、日本の北の中枢都市、北海道の中心都市という札幌の役割や、豊かな自然と充実した都市機能の融和という札幌の個性と魅力、それらをもう一度認識し直し、街づくりに生かしていくことが肝要と考えます。
上田市長には、我々議会とも大いに議論をしながら、今後とも、新しい時代にふさわしいリーダーとして、市民の先頭に立って、市政運営を進めていかれることを強く期待するものであります。
そこで、市長の施政方針、さっぽ
ろ元気ビジョンを実現するために策定した三つの元気プランの取り組みについてお伺いします。
今議会は、上田市長の任期折り返しのスタートとなる2005年度の予算、定数、機構に関する議案を審議する大事な議会であります。
これらの編成に先立ち、市長は、市役所内部に対し、基本的な考え方を示されています。施政方針、さっぽ
ろ元気ビジョンに掲げる目標の実現に向けて、就任初年度は土台づくりを行った年、2004年度はそれを本格化する年と位置づけ、市民自治推進、新
まちづくり計画、市役所改革の三つのプランを市民参加でつくり上げ、市政運営を行ってきました。
そして、2005年度は、三つの元気プランをしっかりと実行することにより、市民に取り組みの成果を実感してもらう年との位置づけになるとして、その動きをさらに加速するために、的確に予算、定数、機構に反映していくとしています。
一昨日、2月20日に開かれた市役所改革市民フォーラムに私も参加をいたしましたが、札幌市の改革、知ろう、語ろう、参加しようの呼びかけに、本当に多くの市民、そして幅広い市民が参加して、市民が変わる、市役所が変わる、札幌が変わるの思いを強くいたしました。
そこで、質問の1点目ですが、施策や事業の展開、あるいは改革の取り組みにより、新年度は、市民に、何をどのように実感してもらうのか。特に、市民の目に見える取り組みが大事だと考えるのですが、具体的に説明していただきたいと思います。
次に、質問の2点目は、元気プランの総合的な推進についてであります。
市民に取り組みの成果を実感してもらうためにも、そのベースとなり、方向性を示した元気プランの強力かつ迅速な実行が重要であり、そのためには、三つの元気プランを総合的に推進し、伸ばすべきものは伸ばし、変えるべきものは思い切って変えていくことが必要であります。
また、元気ビジョンは、市長の公約を最大限踏まえて作成したものであることから、市長と市民との約束でもあり、政治姿勢そのものと言えます。その実行計画である三つの元気プランを推進するに当たっては、市長の思いをしっかりと市役所内に伝え、十分議論しながら確実に実行していかなければなりません。
そして、実際に施策や事業を展開する各局、各区においては、局長、区長が、それぞれの組織の長として責任を持って元気プランを推進していかなければなりませんし、すべての職員に対し、リーダーシップを発揮して、局・区の運営を行ってもらわなくてはなりません。局長、区長の役割が非常に重要であり、取り組みの成否はそこにかかっているといっても過言ではありません。
そこで、市長は、どのような仕組みで元気プランを総合的に推進していこうとしているのか、お伺いをします。
次に、質問の3点目は、元気プランの実現に向けた市民との連携についてであります。元気プランを実現していくためには、市役所内部での取り組みだけでは不十分であります。市民の意見を聞きつつも、市民に市長の目指す街づくりの方向をしっかりと伝え、理解を得ていく必要があります。
市長は、ことしの市政運営に当たってのキーワードとして連携という言葉を掲げていますが、さまざまな連携の形の中でも、市民との連携が一番大事なことであります。市民に対し、理解を得ながら、市長の目指す街づくりを進めるために、市長はどのような思いを市民に語り伝えていこうとしているのか、お伺いします。
次に、財政問題についてお伺いします。
2005年度
一般会計予算は、前年度に比べ193億円減の7,935億円となり、1995年度以来、10年ぶりに7,000億円台となりました。これは、
中期財政見通しにおいて、多額の収支不足が見込まれることから、昨年12月に
財政構造改革プランを策定し、抜本的な歳出構造の見直しを進めた結果によるものと受けとめています。
同時に、歳入についてですが、市税収入は依然として厳しい地域経済を反映して個人市民税で減少が見込まれるものの、一部の企業で収益の改善が見られるため、法人市民税で若干の増が見込まれる状況にあり、前年度比0.3%増の2,597億円を計上しています。しかし、地方交付税、臨時財政対策債を合算して、前年度比5.6%、78億円の減となっています。
また、市債発行額、すなわち借金でありますが、この間、一般財源を補完する臨時財政対策債の発行などにより一般会計の市債残高は増加し続け、この市債償還に伴う将来の財政的な負担が懸念されるところでありますが、これは、前年度に比べ約145億円の減で643億円となり、そのうち、地方交付税やその振りかえである臨時財政対策債と減税補てん債を合わせて約253億円、これらの特別な市債を除く建設事業に充てられる借金は390億円となりました。
この結果、一般会計の市債残高については、政令市移行後、初めて減少基調になり、前年度に比べ約204億円減少し、約1兆1,705億円となる見込みであります。
そこで、質問の1点目でありますが、市債の発行、すなわち、借金をして事業をすることについては、事業の選択と集中を徹底し、総量について抑制することは、将来世代への財政負担を考慮したならば評価するものであります。
しかし、本市は、今日まで築き上げてきた社会資本を維持管理しなければならない時代に入っており、この維持管理については、経費の削減をせず、公共事業の継続等を考慮し、地場の中小建設業の育成とあわせて進めていくべきではないかと思いますが、市長の見解をお伺いします。
2点目の質問は、公有財産の積極的な売却と活用についてであります。
本市が保有する財産情報の一元化を図る取り組みや利活用担当職員の配置など、資産の売却や活用に向けて体制の強化が図られてきました。今後も想定される巨額の収支不足に対応するためには、引き続き、不要不急の普通財産については積極的に売却、賃貸すべきであると考えますが、市長の基本的な考え方についてお伺いします。
3点目の質問は、土地開発公社保有地についてであります。
札幌市土地開発公社に対しては、2005年度予算においても50億円の貸付金を計上しています。土地開発公社については、2000年7月に、当時の自治事務次官より、土地開発公社経営健全化対策について、同時に、自治大臣官房地域政策室長、自治省財政局地方債課長より、土地開発公社経営健全化対策措置要綱取扱細則についての通知がなされました。また、昨年12月27日、総務事務次官、総務省自治行政局地域振興課長、総務省自治財政局地方債課長より、2000年7月の通知を廃止し、さらに厳しい通知がなされ、新たな経営健全化対策を講ずることとなっています。
本市の土地開発公社の現在の保有地ですが、10年以上保有しているものが21件、保有価格約151億円、5年以上10年未満の保有地は4件、保有価格約28億5,000万円となっており、合わせて180億円にもなっています。
市長は、札幌市土地開発公社の経営健全化対策について、どのような対応をしようとしているのか、伺います。
次に、集客交流促進に向けた取り組みについて質問します。
札幌への観光客は、ここ10年、1,300万人台で推移しており、伸び悩んでいます。その原因は幾つかあると思いますが、札幌市が観光都市としての個性を失いつつあり、ほかの街と同じようなビルが建ち並び、同じようなものを売っているのではないかという指摘もあります。街にいろいろな魅力があふれ、そこに住んでいる人々に出会い、その暮らしぶりに触れ合うこと、それが人を旅にいざなうのであります。
今、札幌は、全国、全世界から多くの人を迎え入れる魅力ある街となるよう取り組んでいます。本市は、さっぽ
ろ元気ビジョンで来客2,000万人を目指すとしており、その実現のため、新たな取り組みとして2003年から3カ年の集客交流・シティPRキャンペーン事業を展開しています。
この2年間は、札幌市民のおもてなしの心を札幌の新たな街の魅力として再認識するため、おもてなしプロジェクト、札幌の魅力を視覚的にアピールするビジュアルプロジェクト、インセンティブツアーを初めとするコンベンション誘致に積極的に取り組むコンベンションプロジェクトに取り組んできました。
来客2,000万人達成のためには、札幌の街の魅力を今まで以上にレベルアップさせる必要があり、そのためには、既存の資源に新たな光を当てて集客資源とすること、また、新たに創造、発掘して、それぞれの集客資源を国内外に積極的にPRしていくことが重要と考えます。
例えば、札幌には、211種、1,065点もの動物を擁する円山動物園があります。コンサートホールKitaraでは世界的レベルの演奏会が行われ、札幌ドームではプロスポーツの試合や大規模なイベントが開催されています。都心においては、大通公園や駅前通、また、自然を生かした街づくりの議論も行われています。そして、世界的な芸術家イサム・ノグチがデザインしたモエレ沼公園が、ことし、グランドオープンする予定となっています。このような資源を積極的に活用していくべきと考えます。
そこで、質問ですが、2005年度に予定している街の魅力向上とシティPRでは、新たにどのような取り組みを行うのか、さらには、新たな集客交流資源の発掘、創造としてどのようなものを考えているのか、お伺いします。
次に、集客交流促進のための事業連携について質問します。
今年度は、ポストカードによる、市民と一緒になった集客の取り組みや、企業とタイアップした首都圏での集客PR活動などを実施してきました。行政ができることは限られており、キャンペーン事業において、市民や企業などと協働で取り組みを進めていることは高く評価するものです。
上田市長は、ことし、連携をキーワードに行政を進めていこうと呼びかけています。集客交流の促進には、観光部局だけが取り組むのではなく、市役所内部の連携が必要であり、とりわけ、これからの街づくりの中に観光という視点を取り入れていくことが重要と考えます。
街づくりには、福祉、教育、文化、利便性といった要素が求められますが、そこに住む人にとって住みよい街は、訪れる人にとってもよい街であり、またもう一度、何度も来てみたい街であると思います。街づくりの中に観光という視点を取り入れていく上でも、庁内連携に一層の期待をするものであります。
また、札幌が、北海道の中心都市であることも札幌の魅力を増加させているものであり、札幌と北海道が相互に連携することが効果的な集客交流となるわけで、北海道庁との連携も必要であります。もちろん、これまで進めてきた市民や企業など、民間との連携が今後より一層重要であると考えます。
そこで、2005年度の集客交流促進の取り組みにおける庁内連携や民間との協働をどのように進めるのか、市長の考えを伺います。
次に、魅力ある都心の景観についてお伺いします。
昨年、国土交通省がかねてより検討を進めてきた景観法を中心に、緑に関する法制度の見直しと、屋外広告物法などの景観関連制度の充実を図る、いわゆる景観緑三法が制定されました。この景観法の基本理念の中では、良好な景観は国民共通の資産であると言われており、まさに、国際観光都市を目指す本市においても、この景観という資産をはぐくみ、市民はもとより、札幌に訪れる観光客に再び札幌を訪れたいというリピーターをふやし、来客2,000万人を実現するためにも、愛される街づくりが最も必要であると考えます。
そこで、屋外広告物は、景観形成の重要な要素であり、優良な広告物の創出は美しい札幌の街づくりに欠かせないものであります。たとえ、幾ら立派な建物などを建てても、そこに掲出される広告物の質が低ければ、地域全体の景観を台なしにします。
そこで、質問の1点目ですが、札幌市
屋外広告物条例では、地域の特色に見合った広告景観づくりのため、その地域独自のルールを定めるなどの地区指定制度を設けていますが、現在、どのように活用されているのか、とりわけ、優良な景観形成を目指して指定される景観保全型広告整備地区の指定はどのようになっているのか、さらに、今後の指定方針もあわせてお伺いします。
2点目は、路上に設置される可動看板やのぼりについてでありますが、特に都心部においては、これらの広告物がはんらんし、街の美観を著しく損なっていると思われます。薄野周辺の路上看板にはいかがわしいものもあり、都市の品位が疑われるところでもあります。また、これら看板やのぼりは、歩行者の通行を妨げ、特にお年寄りや障がいのある方にとっては非常に危険な存在となっています。こういった広告物をなくし、だれもが安心して歩ける快適な歩行空間をつくることも、市民の目線に立った景観形成と言えるのではないかと考えます。
そこで、可動看板などは道路占用の許可を一部でしていると聞いていますが、本市としては、このような状況をどう受けとめているのか、また、看板、のぼりなどについてどのように対処していこうとしているのか、お伺いします。
3点目は、市電やバスなどの車体に広告を掲出するラッピングバスなどについてであります。
市電、バスなどの広告は、経営が厳しい交通事業者にとって大きな収入源となっていると聞いており、昨今の経済情勢から拡大されていく傾向にあることは否定できないと思います。
しかし一方で、ビルの屋上や壁面、道路上などにもたくさんの看板がはんらんしている都心部において、さらに、道路上を通行するバスや電車やタクシー、トラックなどにも数多くの広告が掲出される状態、また、都心部ばかりでなく、緑豊かな自然景観のすぐれた場所あるいは閑静な住宅街に、派手なデザインやけばけばしい色彩の広告がついたバスなどが走ることについては、いかがなものかと思います。
そこで、質問ですが、これら電車やバスなどの広告には何らかの規制がなされているのかどうか、交通事業者の広告収入増という面でこれらを推進しながらも、美しい街並みや優良な景観を市民や旅行者が享受し、また、電車やバスの乗客も安心して利用できるようなルールづくりが必要と思いますがいかがか、伺います。
次に、路面電車について質問します。
本市における路面電車は、1918年の北海道大博覧会開催を契機に、民間事業者が敷設した設備を、1927年、本市が譲渡を受け、市営交通として発足し、文字どおり市民の足として発展してきました。
しかし、高度経済成長時代には、路面電車の価値や機能は忘れかけられた存在となり、全国的に衰退の一途をたどりつつありました。バブル経済崩壊後の1997年6月、都市計画中央審議会が
建設大臣に答申した都市交通及び市街地整備の中に、路面電車のあり方が示されました。
これを踏まえ、本市は、1998年に路面電車活用方策調査検討委員会、1999年には総合交通対策調査審議会、2001年に市営企業調査審議会などで調査検討が行われてきました。また、2001年に、本市内部に交通事業経営改革会議を設置し、市営交通事業の方向性を定めた交通事業改革プランを策定しました。
当初、同会議は、2002年度、2003年度の2年で結論を出す予定でしたが、従来同様、現在の路線を残すか、廃止するかの二者択一の形式的な議論に終始していたのではないでしょうか。
そこで、質問の1点目は、路面電車の存廃について、結論を1年延長したことについてであります。
この1年間、民間事業者へのヒアリング、市民との対話を通して、本市に望ましい路面電車のあり方についてさまざまな角度から議論を行ってきた結果、市民の大半が、路面電車を街づくりの中に生かすべきという意志が強いことが確認できたのは成果の一つと言えます。
また、民間事業者へのヒアリング結果と、市民議論及び議会議論から明らかになったことは、既存路線だけに終始した判断をするのであれば、おのずから廃止の選択にならざるを得ないと思われます。
しかし、本市の魅力ある街づくりに路面電車を活用していこうとの意識を持つことによって、新たな展開を生み出し、さまざまな可能性が出てきたと言えます。
本市が、高度経済成長時代とは質や発想の異なる真の豊かさや活気のある街に生まれ変わるためにも、市民が夢を持てる街づくりが必要です。今後、さらに都心や路面電車のあり方の議論を通して市民意識を盛り立てていくことが重要と言えます。このことは、市民自治を推し進める市長の姿勢が端的にあらわれている事例の一つであり、今回の路面電車の論議を通じ、市民・行政・企業の連携・協働によって、よりよい札幌を築き上げることが可能になっていくものと考えます。
そこで、質問ですが、市長は、路面電車の存廃問題について慎重に検討を重ねてこられたところですが、2004年度に1年をかけて得られた結論の意義について、どう評価されているのか、伺います。
質問の2点目は、車両、設備の更新と開発についてです。
さきの検討結果、車両の更新については、現在、国内で活用されている低床車両の導入を控え、当面、安全運行を確保するために、一部の改修で対応していくとの考えを示しています。
一方、今後、急速に進む高齢化や新しい札幌の魅力づくりの観点から、多くの人に利用していただける乗りやすさと斬新さを持った車両が望まれると同時に、投資費用の軽減も考慮しなければなりません。
私ども会派は、こうしたことを踏まえ、昨年、積雪地帯を走る富山県高岡市の万葉線株式会社の低床路面電車の調査、試乗を行ってきました。また、JR北海道が、鉄路と道路の双方を走行可能な車両システム、いわゆるDMV、デュアル・モード・ビークルの開発を手がけていることはご承知のとおりです。同システムは、70年前にイギリスで発想され、ドイツ、オーストラリア、そして、旧国鉄時代に実用化が試みられたものの、実現できなかった夢の乗り物であります。
今、JR北海道が、国内外に向け、その技術を発信しようとしています。JRのDMV技術開発には、市内手稲区の除雪機械メーカーも協力しており、今後、本市が路面電車への活用に向けた取り組みをすることにより、地場産業育成はもとより、札幌市の名をさらに世界へアピールするきっかけになるものと大きな期待と関心を持っています。
先日、我が会派は、JR北海道の苗穂工場においてDMVの試乗と説明を受けてきました。軌道の形態や曲線半径、動力源など技術的な課題はあるものの、決して解決困難なものではなく、路面電車への一部導入の可能性を実感しました。
既に、全国的にも、静岡県富士市など、活用を前提に取り組みを始めている自治体もあります。今後、本市においても、本格的な都心における路面電車の活用方策の検討を始める上で有望な車両システムと言えます。
現在、開発中のDMVは軽油を燃料とするディーゼルエンジンですが、JRの説明では、ガスや、最近開発が進んでいる燃料電池への応用も可能とのことです。既に、北海道大学や民間企業、北4東6地区再開発においても燃料電池の研究開発が進んでおり、燃料電池を活用したDMVを導入することは、札幌が燃料電池の一大供給基地として発展する可能性も十分であり、地場産業にも大きな波及効果をもたらすものと考えます。
既に、本市はJR北海道との技術協議を始めていると聞いていますが、早急に、札幌版DMV路面電車として導入が可能かどうか、技術的な課題の整理に取りかかるべきと考えます。
そこで、質問ですが、さきの市電存続の結論の中で、車両のあり方については、低床車両の導入のみならず、コストや機能面から新たな車両システム導入の可能性についても幅広く検討を行うとしていますが、具体的にどのような検討を考えているのか、あわせて、DMVの評価と導入の可能性についてどのように考えているのか、伺います。
次に、障がい者の地域生活支援について質問します。
2002年12月に決定された障害者基本計画の中で、障がい者本人の意向を尊重し、入所施設から地域生活へとうたわれ、その具体化として、2003年4月に、措置制度から利用契約主義を基本とする支援費制度に移行しました。その直後から、サービスの利用が急激に増大しました。
ちなみに、本市の居宅生活支援費制度利用者は、2003年3月末、措置制度最終月の4,223人から、翌4月には5,165人へと22%増、さらに、1年半後の2004年10月には8,226人、59%増となっており、いかに潜在的ニーズが大きいかを示しています。
私の身近な授産施設に通う知的障がい者が、ホームヘルプ、ガイドヘルプなどの利用が可能になり、親とは異なる他人の援助で、確実に社会参加の道が広がり、さまざまな経験を積み、生活を豊かなものにしています。
こうした中、厚生労働省は、昨年10月12日、今後の障害者保健福祉施策改革のグランドデザイン案を示し、これに基づく、来年度予算案や障害者自立支援法案などを今通常国会に提出し、本年10月から医療費負担の見直し、2006年1月には、定率負担、応益負担が始まる予定とされています。
このグランドデザイン案については、支援費制度の成果を引き継ぎ、その課題を解決しようとするすぐれた側面と、利用者負担の増大やサービスの抑制など、破綻する支援費制度の単なる財源対策にすぎないのではないかという批判の声も聞かれます。
何よりも、今回の提案がいささか唐突であり、内容的にも粗削りな面があり、障がい者福祉が措置制度から支援費制度へ大きく転換していまだ2年にも満たない中で、関係者、とりわけ当事者の立場の人に、ある種の戸惑いと不安を生じさせていることも事実であります。
したがって、本市においても、こうした国の動向に注目し、在宅サービス、地域における自立支援に重きを置いた障がい者福祉サービスの基盤整備が大前提であることを確認し、とりわけ利用者、家族や関係者に対する情報提供、説明、意見交換の場の設定など、可能な限り丁寧な対応に努めるよう強く求めるものであります。
こうした中で、札幌市においても、2003年3月に札幌市障害者保健福祉計画を策定し、施設、病院から地域への移行促進と、サービスの自己決定のための支援などを重点課題と位置づけ、地域で自立した生活を送ることができる共生社会の実現を目指しているところであります。
そこで、このような障がい者福祉の大きな改革の流れの中で、障がい者の地域生活を支援する札幌市の取り組みについて、3点伺います。
まず、1点目は、就労の場の拡充についてであります。
雇用・就労を取り巻く環境が依然として厳しい状況にある中で、障がい者の就労促進も極めて厳しい実態にあります。特に知的障がい者の高等養護学校などの卒業生を見ても、札幌出身者は毎年160名前後と見込まれ、そのうち、企業への就労は約半分、80名以下にとどまっており、それらを拡大していくことはもとより、福祉的な観点からの就労促進策を進めていくことが必要であります。
そこでまず、障がい者の就労の場として重要な通所授産施設や小規模作業所について、今後どのように拡充していく考えなのか。特に、昨年3定の我が会派代表質問でも指摘した当事者団体や関係者との協議、検討の結果や補助基準見直しなどについてお聞きします。
また、新年度予算にITを活用した障がい者在宅就労支援事業の検討経費などが計上されていますが、今後の障がい者の就労支援の促進を図っていく上でどのような検討を行っていく考えなのか、あわせて伺います。
2点目は、グループホームの拡充であります。
障がい者が地域社会で暮らすための中心的な役割を担ってきているのがグループホームであり、本市の障害者保健福祉計画や新
まちづくり計画においても具体的な数値目標を掲げて設置を推進しています。
しかし、グループホームの拡大を図る上で、設置時の経費として共用家具什器の購入費などで平均100万円程度要するなど、関係者や法人の内部努力に頼るのみでは、目標達成は困難であり、私どもは、その立ち上げを支援する札幌市独自の施策が必要であると、これまでも指摘したところであります。今後の地域生活促進の中核施策であるグループホーム支援に対する考え方と取り組みを伺います。
3点目は、相談支援の充実についてであります。
支援費は、制度開始から2年を経過するところでありますが、この間、利用者が増大してきていることは、障がい者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービスの提供を基本とする制度の趣旨から見て望ましいことであり、また、サービスの選択を保障する事業者の数も増加してきていると伺っています。
このような中で、札幌市は、来年度予算において、ホームヘルプなど居宅生活支援費で対前年度比3割増しの所要経費を計上していることは評価するものであり、この中には、最重度の全身性障がい者の介護サービス利用時間の拡大や児童移動介護の年齢要件の撤廃などが盛り込まれており、支援費制度がさらに拡充していく、充実していくことを期待するものであります。
しかしながら、こうした制度としての定着が図られてきている中にあっても、身近に相談支援事業所がないため、福祉サービスをどう利用できるのかわからないとの声も多く聞いているところであり、より身近な地域で障がい種別を越えて、広く、そして、より専門的な相談ができる支援体制の構築が必要と考えるのであります。
そこで、市としては、相談支援事業をどのように拡充していこうとしているのか、また、相談支援を効果的に行うためのケアマネジメントの充実の考えについて伺います。
次は、就学前の子どもたちの育成環境の充実と学校新築・改築時の複合公共施設化のあり方についてです。
最初に、就学前の子どもの施策について伺います。
札幌市次世代育成支援に関するニーズ調査でも、親が働いている、働いていないによって子どもを預ける場所が異なる必要はないとの声も多く出されています。私どもは、以前から、国の所管省庁に基づき、保育行政と幼稚園行政の対応と窓口が別々になっている現状を改め、就学前の保育・教育を一体化して進めるための機構改革について提言してきました。
こうした中で、上田市長の公約に基づき、子ども未来局を設置したことは一定の評価をしているところですが、依然として根本的な問題の解決には至っておりません。
そこで、質問の1点目ですが、就学前の子ども施策全体を推進する人材の配置についてであります。
幼児期の育成環境は人格形成に重要な役割を果たしますが、現在、同じ子どもを育成する施設でありながら、所管官庁が分かれ、法制度が厳格に区分されています。
しかし、近年、少子化や核家族化の進行により、家庭での育児不安の高まりなどを考慮すると、保護者の就労形態だけで子どもの育成環境を区分する現行の仕組みでは、新たな時代の要請に、到底、対応できません。乳幼児育成環境の一元化は、子どもと保護者の双方の視点に立って、子どもが年齢や保護者の就労形態で区別されることなく、ゼロ歳から就学前までの心身の発達に合わせ、一貫した方針に基づき行われるべきであります。
現在、文部科学省は、地方分権を進める観点から、義務教育費国庫負担制度で、公立小・中学校の教職員給与負担を都道府県から政令指定都市への移管とともに、学級編制権も移譲する方針を固め、2005年の法改正に向けて準備が進められています。
また、北海道においても、道の事務・権限における道州と市町村の役割分担に応じた区分(案)において、私学の設置許認可等に関する事務事業を市町村に移譲することを検討しています。
このように地方分権が確実に進みつつある中で、文部科学省と厚生労働省は、就学前の子どもたちの施策を積極的に事業化する姿勢を示しています。こうした意向を十分に踏まえ、本市においても、今から教育委員会と子ども未来局の双方にかかわる施策を一元化し、両組織に共通する担当者を併任発令するなどの人材配置を進めるべきと思いますがいかがか、伺います。
質問の2点目は、保育園と幼稚園をあわせ持った総合施設についてです。
国は、2004年5月、中央教育審議会幼児教育部会と社会保障審議会児童部会の合同検討委員会を設置し、6回にわたる審議を重ね、昨年12月24日に就学前の教育・保育を一体としてとらえた一貫した総合施設についての最終的なまとめを公表しました。
国は、総合施設の導入に向けて、2005年度に全国30カ所でモデル事業を行うとともに、2006年度からの本格実施に向け、具体的な法整備を進めようとしています。現時点では、まだ総合施設のモデル事業としての詳細は明らかにされておりませんが、本市では、さきの合同検討委員会が公表した総合施設をどのように評価し、今後、導入する計画なのかどうか、また、国の同施設の本格実施などに合わせ、事前にどのような取り組みをしていく考えなのか、伺います。
次に、学校の新築・改築時における複合公共施設化についてであります。
昨年4月、本市の統合校、複合公共施設として、資生館小学校が開校しました。学校施設は、地域住民施設として、放課後のみならず、日中も授業に支障のない限り徐々に開放されつつあります。また、子育て支援センターと保育園も併設され、子どもからお年寄りまで多くの市民が憩い、学ぶことのできる場としての機能を十分に発揮し、さらに、地域の人や小学生も同じ施設内の保育園児に愛情を持って触れ合おうという意欲が芽生えるなど、地域、学校、保育園の活性化にもつながりつつあります。
こうした複合公共施設は、単に建物づくりの問題だけではなく、その中で学んでいる子どもたちや地域の人たちの心に刺激を与え、豊かさをもたらすものであり、新しい社会が求める生涯学習を目指す人間形成をする上で重要なことと考えます。
現在、本市では、屯田北小学校、中学校の新築及び円山小学校の改築を進めていますが、同地域における複合公共施設化に向けた教育委員会の取り組みは不十分な感が否めません。その結果、地域の市民は、なぜ複合公共施設が必要なのか、重要なのかということに疑問を持っている人も多いと感じます。
私は、学校は地域コミュニティーの拠点として重要であり、複合公共施設化の優位性を踏まえ、教育委員会が将来を見据えた本市の教育行政のあり方として市民に情報提供し、市民との連携のもとで、資生館小学校をモデルに、地域に密着した複合公共施設を今後積極的に進めるべきと考えます。
そこで、質問ですが、本市では、資生館小学校をどのように評価し、今後、学校の新築・改築時における複合公共施設化をどのように推進していく考えなのか、伺います。
次に、子どもの体験活動事業の「大志塾」について伺います。
今日の子どもたちは、少子化で、以前にも増して大切にされる反面、家庭では子どもの行動を抑制することで、知らず知らずのうちに成長の芽を摘み取ってしまう過保護や過干渉が見られ、子どもがみずから考え、行動する機会に欠ける状況に置かれています。また、望ましい人間関係をつくり上げていくために必要な直接的な体験の幅の広さや量が不足し、社会性の不足や規範意識が希薄になっていることが指摘されています。
そこで、私どもは、子どもたちの多様な体験機会の拡大につながる施策をさらに進め、体験の積み重ねを通じて自己の達成感や充実感、周りとの連帯感を感じ取ることができるように、子どもたちが主体的にみずから考え、参加し、行動できるような条件整備と積極的な支援の必要性を2002年4定の代表質問でも提言してきました。
これまで、札幌市は、子どもたちの多様な体験型事業の実施に向け、他都市の実態調査や市内小・中学生約5,000人に対するアンケート調査、プログラム検討委員会の開催など、さらに、この2年間は、調査事業として、サッポロさとらんどにおいて、公募による小学生を対象に、複数回にわたり継続した体験活動を実施したと聞いています。
このさっぽろ夢大陸「大志塾」事業の「なんでも体験隊」は、サッポロさとらんど内の未整備地1.4ヘクタールを活動場所に、市内全域から参加した小学1年生から6年生まで約50人が、全学年混在で10人程度のグループに分かれて活動し、世話役として子ども会リーダーの高校生延べ40名が協力し、児童や保護者にとっては、「なんでも体験隊」のお兄さん、お姉さんとしての役割を十分に発揮してきました。
水飲み場も電気もない荒れ地ですが、やってみたいことをみずから決め、畑づくりや種まき、草取りや野菜の収穫、建築廃材を使ってテーブルやベンチづくり、ペンキ塗り、アウトドアクッキングなどを楽しみ、あっという間に一日が過ぎてしまう、他の学校や学年の違う子と協力するのが楽しかったなどのすばらしい体験と思い出をつくっているのであります。
「大志塾」事業は、新
まちづくり計画の、ゆたかな心と創造性あふれる人を育む街さっぽろの自立した市民に育てる教育の推進、思いやりとゆたかな心をはぐくむ環境づくり、これらの重点事業として位置づけられ、来年度は参加児童をこれまでの50名から200名規模に拡大して活動を展開すると聞いています。
そこで、質問ですが、まず最初に、子どもたちの体験活動事業に対する市長の見解と将来的な取り組みの展望についてお聞きします。
次に、子どもたちの自主性や企画性などを大切にする事業を進めるに当たって、市は、子どもたちとどのようなかかわりを持ち、子どもたちが望むプログラムの支援をどのように進めていこうとしているのか。
3点目に、この事業において子どもたちの希望するさまざまな活動を支援していくためには、これまでの子ども未来局の単独事業としてではなく、現地周辺の環境を生かし、札幌市農業指導センターやサッポロさとらんど、このさとらんどには、ことし12面の水田ができると聞いていますが、これらとの連携を図ること、さらに、地域の社会資源、農業者、技術者、職人などの協力を得ることも必要と考えますがいかがか、お伺いします。
最後に、戦後60年、自治体の平和政策について伺います。
冒頭でも述べましたが、ことしは太平洋戦争が終結して60年の節目に当たります。この大戦では300万人の同胞が犠牲になりました。日本だけではありません。アジア太平洋地域では、3,000万人を超えるとうとい人間の血と涙が流されました。この戦争の犠牲と反省の上に立って制定されたのが、日本国憲法であります。また、ユネスコ憲章前文は、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」とうたっています。これが平和の基本であり、平和を守るためには、こうした決意と友好、連帯の観点に立った知恵と工夫でみずから行動することが肝要であります。同時に、太平洋戦争のような悲惨な体験は、民族の歴史として、しっかり語り継ぎ、受け継いでいかなければなりません。
1980年、戦後35周年を迎えた折、ここ札幌市で一つの貴重な取り組みがありました。それは、さっぽろ文庫第14巻で、「昭和20年の記録」が刊行されたことです。この本には、最初に写真が掲載されており、そこには終戦直後の札幌駅前、卒業を待たず出陣する北大学徒、庁立札幌高女の学徒動員、白鉢巻き姿で突撃の訓練をする婦人、そして、玉音放送に泣き崩れる少国民、北1条通を行進する進駐軍機動部隊、終戦直後のやみ市風景などの貴重な写真と、日本、北海道、そして札幌の戦前、戦中、戦後の出来事が手記を含めて掲載されています。
当時の板垣武四札幌市長は、この本の序文に、「八月十五日と私」と題して、札幌は空襲を浴びることが少なかったとはいえ、当時の市民は戦争の恐ろしさを心底から感じ取っていたはず。それらの記録や記憶は少しずつ風化していっているので、ここで正確に記録にとめ、後世の市民に8月15日を伝えることは私たちの責務と、歴史的な体験を後世に伝えていくことの重要性を強調しているのであります。
戦争の悲惨さはどんなに強調しても、し過ぎることはありません。平和を創造し、平和を建設することは大変な努力と決意が必要です。特に、核戦争の時代にあっては、唯一、被爆体験を持つ民族として、日本国民の崇高な責務の一つだと考えます。したがって、あらゆる手段を駆使して、平和創造へのさまざまなプログラムを練り上げていかなければなりません。
札幌市が行っている平和都市宣言にかかわる事業なども、ささやかな一つの道でありますが、こうした自治体の平和政策の積み重ねによって、市民自身の平和をつくる力を育て、これを世界に発信することができるならば、自治体の果たす役割は大きいものがあると考えます。
こうした基本認識に立って、2点質問します。
1点目は、平和政策展開に当たっての市長の基本姿勢であります。
東西冷戦の終えんは、平和の時代の到来に結びつくものと期待されました。しかし、その後の情勢の推移は、その道のりが平たんでないことを示しています。国家間の紛争や民族間の対立、内戦、そしてテロが激化しています。
このような中で、平和の時代への展望を国だけに任せるのではなく、地域から創出する意義は極めて大きいものがあると考えます。市長の基本的な考えを伺います。
また、札幌市では、1992年3月30日、桂 信雄市長時代に核兵器廃絶を内容とする札幌市平和都市宣言を行いましたが、この宣言についてどう受けとめているのか、あわせて伺います。
2点目は、戦後・被爆60年事業の取り組みについてであります。
具体的事業内容については、現在検討中ということですので、この機会に、提言を交えて質問をいたします。
提言の第1は、平和象徴を活用した取り組み、平和のともしび、聖火リレーについてであります。
札幌は、平和の祭典、冬季オリンピックを開催したという貴重な財産を持っています。本市庁舎前には聖火台も残っています。それと平和のともしびを組み合わせ、聖火リレーを再現し、点火したともしびを戦後の原点と言われる8月15日を中心にともすイベントを考えてはどうでしょうか。
幸い、隣の北広島市が、広島平和公園の平和のともしびから分火してしてもらい、1996年から平和のとうとさと友好の大切さを願う北広島市のシンボルとしてともし続けており、分火も可能と聞いています。この事業にかかわる人手はボランティアで対応可能であり、少ない予算で貴重な取り組みになると考えますがいかがか、伺います。
提言の第2は、市民グループとの協働です。
市内の市民グループの皆さんも、戦後60年に当たっての取り組みを企画しています。本市も市単独の事業を行うだけでなく、こうした市民グループと共同で幅広い記念事業を企画することも重要な視点だと考えます。要は、多くの市民が参加する中で、平和のとうとさを共感できる環境の創出に行政も一役買うべきと思いますがいかがか、伺います。
今回、2点提言させていただきましたが、キーワードは、上田市長がことし重点にしている連携であります。市民や企業、市民グループや近隣自治体との連携を意識したこの提言について、上田市長の率直な見解を伺います。
以上で、私の質問のすべてを終了します。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(西村茂樹) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 9点にわたりますご質問でございますので、私からは、市政運営と元気プランの問題、財政問題、集客交流促進に向けた取り組み、障がいを持った方の地域生活支援について、さらに、最後の戦後60年の自治体の平和政策についてお答えをさせていただきまして、その余は担当の副市長並びに教育長が答弁をさせていただきます。
初めに、私の市政運営と元気プランの総合的な推進についてお尋ねでございますので、お答えをさせていただきます。
1点目の市民に何をどのように実感してもらうのかというご質問でありますが、私が市政運営の基本に据えるというものは市民自治でございます。特に、市民が主役となった地域の街づくりは、市民自治の基礎であるというふうに考えております。
昨年、市内87カ所の連絡所、出張所をまちづくりセンターに改編いたしましたけれども、新年度は、これをさらに本格化させまして、より多くの地域の皆さんに、さまざまな取り組みを通して交流を深めてもらい、活動を根づかせていただきたいものだと考えているところであります。
また、子どもたちが豊かな心を養い、元気にたくましく育っていくように、触れ合いの場づくりというふうなことや子育て支援などの取り組みをさらに進めていくとともに、高齢者や障がいのある方々の社会参加や地域生活の支援を行う施策も展開してまいります。
大変厳しい時代ではございますけれども、これらの施策を中心に、子どもからお年寄りまで多くの市民の皆さんが、地域社会の中でその存在や活動を認め合いながら、街づくりへの参加や暮らしの中での体験を通して、この街が自分の街なのだ、札幌市民でよかったというふうに実感していただきたいと、このように思うわけであります。そのための取り組みを精力的に進めてまいりたいと、このように考えているところであります。
また、市役所改革に関しましては、市役所改革プランなどを着実に実行いたしまして、市民に信頼される身近な市役所というものを目指していきたいと考えております。
2点目の元気プランの総合的な推進についてであります。
今回、元気3プランが出そろいましたけれども、プランをプランで終わらせないために、全体的な進行管理というものが必要でありまして、私や副市長などで構成いたします経営改革会議が責任を持ってその任を担ってまいりたいというふうに考えております。
また、各局だとか各区におきましては、元気プランを実現するために、今後何をしていかなければならないのかということを示します局区実施プランというものを策定いたしまして、局長、区長が責任者となって目指すべき方向性を職員と共有しながら総合的に取り組みを進めてまいります。
また、機構の面でございますが、現在の市役所改革推進室を市政推進室に改編、強化をいたしました。今まで以上にスピード感を持って、三つのプランを一体的・総合的に推進してまいりたいと考えているところであります。
次に、3点目の元気プランの実現に向けた市民との連携についてでありますが、先日の提案説明の中でも触れさせていただきましたけれども、札幌市の置かれた環境は、かつて経験したことのない厳しい時代を迎えております。市役所内部の経費節減ということを徹底的に行うことはもとより、これだけでは立ち行かなくなる、そんなところに、今、私たちが置かれているのだということを認識しなければならないのであります。
今ある公共サービスをずっと維持し続けていくとすれば、何かを切り詰める、あるいは、市民の力で支え合っていくと、そういった選択をしなければならない状況にあると私は考えております。そのことを市民の皆さんにわかりやすく丁寧に情報提供し、十分な議論を重ねていくことが極めて重要であるというふうに考えております。市民一人一人が自分たちの街を考え、自分たちでできることは自分たちで行う、その上で、市民と行政がともに手を携えて、次代を担う子どもたちにこの札幌の街を引き継いでいこうということを私は市民にしっかりと語り伝えてまいりたいと、このように思っているところでございます。
次に、財政問題についてお答えをいたします。
1点目の社会資本の維持管理経費の考え方についてであります。
これまでに先人たちが築き上げてきました札幌市の社会資本というものは、既にかなり高い水準に達しているというふうに思いますので、ご指摘のように、社会資本の開発から維持管理へと構造転換を図っていく必要があるというふうに考えております。
そこで、17年度予算におきましては、道路や公園などの維持管理経費につきまして、より一層の効率化を図るなどの節減に努める一方で、市民要望の大きい除雪については、できる限り現状の水準を確保できるように、市民生活への影響に配慮したところでございます。
こうした社会資本の維持管理に要する経費については、厳しい財政状況が続く中にあっても、今後とも一定の水準を維持していくことが必要でありまして、地元の中小建設業の育成という面にも配慮しながら進めてまいりたいと、このように思っているところであります。
次に、2点目の公有財産の積極的な売却と活用についてのご質問でありますが、公有財産のうち、今後活用が見込まれない土地につきましては、積極的に売却を進めてまいります。また、事業化が予定されている土地につきましても、目的の事業が行われるまでの間は貸し付けを行うなど、有効活用というものを図っているところであります。
今後とも、厳しい財政状況が考えられますことから、積極的に公有財産の売却や貸し付けを行いまして、財源の確保に努めてまいりたいと考えているところであります。
3点目の土地開発公社の経営健全化対策についてのご質問でありますけれども、札幌市では、これまでも、事業量に見合った組織体制の構築や金利負担の圧縮など、土地開発公社の経営健全化に努めてきたところでございます。
このたび、総務省から示されました経営健全化対策は、長期保有地の縮減を進めるよう、土地開発公社を設立しているすべての地方公共団体に求めたものでありまして、具体的な対策やそれに応じた財政措置などが主な内容となっているところであります。
札幌市といたしましては、土地開発公社の長期保有地を早期に解消していくために、売却することを前提にその取り組みを進めてまいりますとともに、今回の国の経営健全化対策や、現在取りまとめが行われております札幌市出資団体評価委員会からのご提言も踏まえて、一層の経営健全化に努めてまいりたいと、このように考えております。
次に、集客交流促進に向けた取り組みについてお答えをいたします。
1点目の街の魅力向上とシティPRの新たな取り組み及び新たな集客交流資源の発掘、創造についてでございます。
街の魅力向上とシティPRの新たな取り組みにつきましては、来年度グランドオープンいたしますモエレ沼公園を核といたしまして、札幌が持っておりますアートを街の新たな魅力として位置づけをいたしまして、首都圏などに対象を絞り込んだPRを展開してまいりたいと、このように考えております。
新たな集客交流資源の発掘、創造についてでありますけれども、アートによる街の魅力づくりを行う一方で、時期が近接をして開催されておりましたリンケージ・アップ フェスティバルとフードランド北海道を一体的に実施することにより、集客力を高めていくなど、既存の事業の再構築、そして、施設の活用にも取り組んでまいりたいと、このように考えております。
2点目の集客交流促進における事業連携についてであります。
これまでも、定山渓地域などにおいて観光振興と地域の街づくりに取り組む中で、庁内の都市基盤整備と集客交流を所轄する部門の連携により、事業成果を上げてきているところであります。また、観光客やコンベンションの誘致活動においても、北海道や周辺市町村、そして民間事業者等と連携を図りまして、効果的な事業展開を行ってきたところであります。
来年度も、こうした取り組みをさらに充実強化いたしまして、より一層、集客交流の観点を生かした庁内連携というものを進めていきたい、このように考えております。さらに、広域的な連携や民間事業者との連携では、それぞれの団体、企業等の意欲的かつ先駆けとなる動きを的確にとらえまして、相互の事業協力を行って、集客増に結びつけていきたいと、このように考えております。
次に、障がいを持った方の地域生活支援についてであります。
1点目の就労の場の拡充についてでありますけれども、通所授産施設につきましては、札幌新
まちづくり計画に基づきまして、毎年度1カ所の計画的な整備を進め、小規模作業所につきましては、より実態に即した補助基準の見直しを行う中で、受け入れ態勢の拡充を目指しているところでございます。
そこで、小規模作業所のあり方につきましては、当事者団体で構成されます連絡協議会と、昨年5月から7回にわたって検討を進め、従来の福祉的就労を中心とした機能に加えまして、自立に向けた、企業への就労支援を重視するなどの類型化を図ってまいりました。さらに、補助基準につきましても、こうした機能や特性に応じた加算制度を設けまして、作業所の運営について、よりきめ細かな支援を行ってまいりたいと考えているところであります。
また、パソコンなどのITを活用した在宅就労支援についてでありますが、支援の具体的な方策を検討するために、関連の事業者や学識経験者などによります検討会議を発足させまして、業務の受注を初め、在宅就労を調整いたします就労支援機関の設置、これに携わる方の技術向上のための研修などについて、十分な検討を行ってまいりたいと考えているところであります。
2点目のグループホームの拡充についてでございますが、グループホームは、障がいのある方の地域生活の場として、今後、ますますその役割が増していくものと考えておりまして、毎年度、20カ所の整備を目標に、その拡充を図っているところでございます。また、その整備目標の円滑な達成に向けまして、事業者にとって負担の大きい共用備品や改修などの初期整備に係る経費、この初期経費について軽減を図るために、平成17年度におきましては、50万円を限度とした補助制度を創設したいと、このように考えておるところであります。
3点目の相談支援の充実についてでございますが、身体、知的、精神、それぞれの相談支援事業所数の拡大を目指すとともに、各分野の事業所において柔軟な対応ができるよう、連絡会議の設置などによりまして相互の連携を深め、より身近な地域で相談支援ができる体制の整備を進めているところであります。
また、ケアマネジメントの充実につきましては、障がいのある方の地域生活におけるさまざまなニーズに対応するために、相談支援事業者が障がい種別にかかわりなく、サービスを有効に組み合わせて、個々のニーズを満たしていくことが求められております。このため、相談支援事業所などを対象とした、相談事業を行う方の従事者研修において、今年度から三つの障がいを統合したカリキュラムを組むなど、ケアマネジメント手法がより一層発揮できる相談支援体制の構築に努めているところでございます。
戦後60年、自治体の平和政策についてご質問でございます。
1点目の平和政策展開に当たっての私の基本姿勢というご質問でございますが、私は、平和は市民が幸せに暮らしていくための基本でありまして、本当に何よりも大切にしなければならない、そういうものだというふうに考えております。市民一人一人が平和について考え、できる範囲で行動を起こす、市民が地域から平和を求める声を上げる、こうしたことが平和を実現するために極めて重要なことであると考える者の一人でございます。
そういう観点から、札幌市では、これまでも平和事業に取り組んできたものと思いますし、私といたしましても、今後も、機会あるごとに、市民の皆さんに平和のとうとさを訴えてまいりたいと考えておるところであります。
また、平和都市宣言は、市民の平和を願い、平和を求める強い願いを宣言という形で表明したものでありまして、将来にわたって、その精神を受け継ぎ、守り、育てていかなければならないものであると、このように考えております。
2点目の戦後・被爆60年事業の取り組みについてでございます。
議員のお話にありますとおり、私のことしのキーワードは連携でございますが、その視点から、二つの貴重なご提言をちょうだいいたしました。まず、平和の象徴を活用した平和のともしびにつきましては、聖火リレーを取り入れるなど、大変参考になる内容だと考えますし、また、市民グループとの関係につきましては、そうした市民の自主的な活動に対して札幌市はどういうふうにかかわっていくのかということについて、整理をした上で、ご提言の趣旨も踏まえまして60年事業に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
私からは、以上でございます。
○副議長(西村茂樹) 福迫副市長。
◎副市長(福迫尚一郎) 魅力ある都心の景観についてと路面電車につきましては、私の方からお答えさせていただきます。
まず、魅力ある都心の景観についてお答えいたします。
1点目の地区指定制度の活用につきましては、これまでに、薄野地区を、地域のにぎわいと活性化のため、規制の緩和を図る広告物活用地区に、また、JR札幌駅南口地区及び北口地区を、札幌の顔にふさわしい景観を創出するため、景観保全型広告整備地区に指定しております。今後は、平成18年度までに、さらに都心部のすぐれた広告景観が創出されるよう、札幌駅から大通までの駅前通及び大通の西1丁目から13丁目までの区域について、景観保全型広告整備地区に指定すべく、地元の意見等も取り入れながら、札幌市屋外広告物審議会の中で検討してまいります。
2点目の可動看板やのぼりの規制についてですが、まず、可動看板に関しては、一定の基準を満たしているものに限り許可をしておりますが、議員がご指摘のように、快適な歩行者空間の形成を阻害している状況も多く見受けられます。このため、既に札幌駅前通と大通を可動看板を許可しない地域に指定済みですが、これに加え、札幌駅周辺と薄野地区の指定を予定しており、平成17年度から実施したいと考えております。
次に、のぼりの問題ですが、これは、昨年、屋外広告物法が改正され、簡易除却の対象物件とされました。これを受け、札幌市
屋外広告物条例についても、所要の改正を行い、本年4月1日より施行となりますので、今後、関係団体等に事前周知を図り、悪質なものについては除却を行ってまいります。また、地域の商店街などとも連携し、合同パトロールを行うなど、だれもが安心して歩ける快適な歩行空間をつくり、沿道の景観向上に努めてまいります。
3点目のラッピングバス等については、現在、許可の台数を制限することにより規制しておりますが、これらは都心部に乗り入れる台数が多く、その運行頻度も高いため、議員ご指摘のとおり、派手なデザインや色彩の車両が多く見受けられる状況です。
そこで、平成17年度からは、台数制限による規制ではなく、広告物の質の向上を図ることとし、専門家による色彩、デザイン等の事前審査を行う仕組みを設けて、景観と調和した車体利用広告が提出されるようにしてまいりたいと考えております。
次に、路面電車についてお答えさせていただきます。
1点目の今年度の検討結果に対する評価についてでありますが、重大な政策決定につきましては、市民に必要となる情報を公開した上で、議論を行い、判断することが大切であると考えております。
この路面電車の存廃問題につきましても、広報さっぽろを通じての情報提供や市電フォーラムなどの開催により、直接、市民と議論を行ってまいりました。その結果、市電を存続すべきとの多くの市民の意見と、街づくりに積極的に生かすべきとの発展的な意向も多いことを踏まえるとともに、札幌の顔として都心を活性化できる可能性を持っていると考え、先般の存続との結論に至ったわけであり、この1年間の検討、議論は非常に意義のあったものと考えております。
2点目の新たな車両システムの導入についてでありますが、今後の車両のあり方につきましては、路面電車の活用方策の検討を進める上で、進展する高齢化や札幌の魅力づくりに寄与する車両機能やデザイン、導入に伴うコストの軽減の可能性などを踏まえ、幅広く検討してまいりたいと考えております。
なお、DMV、デュアル・モード・ビークルにつきましては、全国で初めてJR北海道が開発した技術であり、観光振興や街づくりと連携した多様な活用策が考えられるものの、いまだ開発途上の技術であることから、今後の開発の動向を注視してまいりたいと考えております。
私からは、以上です。
○副議長(西村茂樹) 小澤副市長。
◎副市長(小澤正明) 私から、残余の質問のうち、教育委員会関係部分を除いて答弁させていただきます。
まず、就学前の子どもたちの育成環境の充実と学校新築・改築時の複合公共施設化のあり方についてお答えいたします。
1点目の就学前の子ども施策全体を推進する人材の配置についてでありますが、現時点では、就学前の子どもに対する施策を含めて、子ども関連施策を効果的に推進するために、子ども未来局と教育委員会の関係部長会議を設置し、幼保連携や子どもの権利に関することなど五つのプロジェクトを立ち上げ、相互の連携を一層強化することとしております。このプロジェクトにおいて就学前の子どもたちに対する施策がどうあるべきかについて具体的に検討するとともに、これを実現するために必要な推進体制について、担当者の併任を含めて検討してまいりたいと考えております。
次に、保育園と幼稚園をあわせ持った総合施設についてであります。
国がまとめました就学前の教育と保育を一体としてとらえた一貫した総合施設についての内容を見ますと、利用者負担や財政措置のあり方、また、設置の許可や監督の体制などについて、まだ具体的には示されていないことから、現段階でこれを評価することは難しいと考えております。したがいまして、総合施設の本格実施に向けての具体的な取り組みにつきましては、平成17年度に予定されております国のモデル事業の結果などを見きわめた上で対応してまいりたいと考えております。
なお、当面は、合同での活動や研修など、保育所と幼稚園の連携を進めるために、現行制度の中でできることから取り組むとともに、保育所や幼稚園の団体との意見交換などを行ってまいりたいと考えております。
次に、8番目の質問の子どもの体験活動事業の「大志塾」についてお答えいたします。
まず、1点目のこの事業に対する見解と将来的な展望でありますが、子どもたちに不足しがちな自然体験や社会体験、生活体験の必要性は、議員がご指摘とおり、大変重要なことと認識をいたしております。この事業は、単に参加するだけではなくて、自主的に自分たちの考えを具現化できるよう、例えば、種まきから収穫までといった複数回にわたる継続性を持った参加型事業として実施したいと考えております。
2点目の子どもたちとのかかわりと支援の進め方についてであります。
この事業では、子どもの権利条約における意見表明権等を尊重し、子どもたちの主体的な活動を基本としていますが、子どもたちがお互いに協力しながら計画の立案や活動をスムーズに行えるような環境が必要なことから、話し合いや活動のサポート役として、少年団体のリーダー等の配置を考えております。また、子どもたちの活動内容に応じては、技術や技能、知識を持った大人の方々にも1日講師などとして参加、協力を要請しながら、事業を進めていく必要があるものと考えております。
3点目の庁内連携と地域との協力についてでありますが、これまでの調査事業で、子どもたちが選んだ主な活動内容は、畑での耕作活動、大きな木を利用した制作活動、木工、クラフトなどの工作活動などが挙げられています。活動場所のサッポロさとらんどは、市民が農業や自然と触れ合いながら憩い、楽しむことができる都市型農業体験交流施設と位置づけられておりますことから、この「大志塾」事業において、子どもたちの考えや希望する活動を数多く実現できるように、農業指導センターやサッポロさとらんどと密接な連携を図るとともに、農業技術など技術や知識を持った大人の方々の協力もいただきながら事業を展開してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(西村茂樹) 松平教育長。
◎教育長(松平英明) 私から、就学前の子どもに関する質問のうち、学校の複合公共施設化につきましてお答えを申し上げます。
まず、資生館小学校の評価でございますが、資生館小学校におきましては、校内組織として、複合施設交流委員会を立ち上げ、生活科や総合的な学習の時間の中で、遊びなどを通じて保育園の園児や子育て支援総合センターの乳幼児との交流事業を実施してまいったところでございます。
その結果、教育委員会といたしましては、児童に他者を思いやる気持ちが育ちつつあるなど、一定の成果があらわれてきているものと認識いたしておりますが、今後も、検証作業を引き続き行っていきたいと考えております。
次に、学校の新築・改築時における複合公共施設化でございますが、学校は地域コミュニティーの拠点として期待されておりますことから、複合化の視点は大切なことだと考えており、現在、関係部局とプロジェクトをつくり、それぞれの施設が学校と複合化した場合にどのような効果があるのかを検討しているところでございます。
今後は、さらに関係部局との連携を図りながら、それぞれの公共施設の整備指針や市民ニーズ、地域の要望等を把握し、事業計画に反映させてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(西村茂樹) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、あす2月23日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(西村茂樹) 異議なしと認めます。したがって、そのように決定しました。
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○副議長(西村茂樹) 本日は、これで散会します。
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散 会 午後4時49分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 武 市 憲 一
署名議員 西 村 茂 樹
副議長 大 越 誠 幸
署名議員 村 上 勝 志...